今回の『千恋*万花』ムラサメのコスプレで最も工夫を凝らしたのは、日常的な教室という空間の中で、彼女特有のどこか浮世離れして少し意地っ張りな雰囲気をいかに表現するかという点でした。設定上、限られた人にしか見えない存在であるため、大げさな身振り手振りはあえて控え、視線の焦点や繊細なしぐさによってその空気感を伝えることを意識しました。原画のイメージに近づけるため、ライトグリーンのロングストレートウィッグを選んで前髪を揃え、両サイドには青白ストライプのリボンを結びました。メイクでは赤いカラーコンタクトと、下まぶたに丁寧にぼかした赤いアイシャドウが要となり、スタジオの照明下で肌の白さを際立たせ、見る者を惹きつける透明感のある眼差しを生み出しました。衣装は定番の青白セーラー服スタイルで、濃紺のトップスに白い大きなセーラーカラー、胸元には細い赤リボンを結び、星や幾何学模様があしらわれたグレーベースのプリーツスカートをセレクト。裾や上着の裾には特徴的なギザギザのカッティングが施されています。レイヤード感を高めるため、足元には白ストッキング(ハイソックス)と黒の光沢ある厚底ローファーを合わせました。
撮影当日は、白ホリ(白スタジオ)の中にシンプルな学校の机と椅子を配置して行いました。今回のポージングは体幹と筋力がかなり試されるものばかりでした。机の上に腰掛けて脚を組むカットでは、上着のシルエットが崩れないよう常に背筋をまっすぐ伸ばし、手元も空中で自然にしならせる姿勢を保ち続けました。机に突っ伏すカットでは、どこか退屈そうに周囲を観察しているニュアンスを出すため、腕の上に顎を乗せる角度を何パターンも試しつつ、ウィッグが衣装に挟まって乱れないよう気を配りました。また、床に膝をついて手を伸ばすポーズは支えがないためバランスを崩しやすかったのですが、カメラマンの@Govcz小法師XiYiさんがアングルやライティングの明暗を細かく調整してくれたおかげで、真っ白な背景が人物の孤独感をより一層引き立てる仕上がりになりました。
現場の空気はとても静かで、皆がシャッターの切られる音に耳を澄ませていました。この衣装を身にまとい、見慣れた机と椅子に腰掛けていると、不思議な錯覚に包まれます。木目調の床と白ストッキングや革靴が擦れ合う感触が、束の間現実を忘れさせてくれました。悲劇的な色合いを無理に強調するのではなく、長い年月を誰かに寄り添い続けてきた彼女の凛とした佇まいと静寂を、静止画を通して純粋に表現したいと考えました。完成した写真はとても穏やかに見えますが、撮影中は頭の中でずっと彼女の物語を巡らせていました。教室の要素を取り入れたこの写真から、キャラクター本来の魅力を感じ取っていただければ幸いです。撮影は終始順調で、光と影の演出も思い描いていた通りの質感となり、カメラマンさんと一つひとつ妥協なく詰めて作り上げた空気感は、自分自身にとっても納得のいく最高の一枚となりました。