本来はアクアシティを気ままにぶらついていただけだったのですが、通路の角を曲がった瞬間にカメラマンさんにばったり見つかり、そのまま捕獲されてしまいました。実際はその時、隅っこにしゃがみ込んでノートPCとマウスを握り、他のカメラマンさん向けの現像・写真返却作業の真っ最中だったのですが、急遽引っ張り出されて撮影することに相成りました。
本日の装いは『ブラック★ロックシューター』。このエナメルコスプレ衣装の独特な光沢感はモールの照明下でひときわ強い反射を放ちます。コートのロングジッパーを下げてウエストラインを覗かせる構造は、スタイルが引き締まって見える反面、やはり少し肌寒さがありました。ウィッグは黒髪ストレートにツインテールを合わせ、毛先には鮮やかなブルーのインナーカラーを差し込み、頭頂部のアホ毛やサイドの鬢(びん)も原作準拠でシャープにカッティング。手にした大剣プロップは軽量設計されているとはいえ、構えると確かな重量があり、ポーズを取る際は体幹を引き締めて重心を安定させないとふらつきそうになるほどでした。
普段から自身でレタッチ業務を請け負っていることもあり、写真の質感やライティングの機微には人一倍敏感です。ただ本日はあくまで偶然の出会いから始まった突発撮影だったため、定常光ライトやソフトボックスをわざわざ展開する手間は省きました。カメラに直付けしたスピードライトによる直フラ撮影を選択した結果、硬質でシャープな閃光が走り、エナメル生地の表面に鮮烈なハイライトとエッジの効いた影のコントラストが刻まれました。当初は直フラ特有の顔の平坦化やテカリを懸念していましたが、RAWデータを確認すると、この硬質な光線こそがブラック★ロックシューターの持つ冷徹でサイバーパンクな世界観と奇跡的に調和していることに気づきました。
撮影は終始ラフなスタイルで進行し、複雑なセットを組むことなく、モールの床タイルの反射や遠くのLEDライン照明を背景として活用。2枚目の横立ちのカットでは片脚を前にすっと伸ばし、太ヒールのロングブーツを活かして視覚的なレッグラインを美しく引き伸ばしました。4枚目の座り込みカットでは、背後にあった青いフロアペイントが目にとまり、アルファベットや星のグラフィティを構図に自然に溶け込ませました。
撮影後はすぐそばのベンチに腰掛け、その場でPCを開いてデータを取り込みました。突発ロケだったためメイクは半日以上経過しており、Tゾーンにはわずかな皮脂浮きがあり、ウィッグの毛先にも少し絡まりが見られました。レタッチでは肌の自然なキメを損なわないよう過度な美肌加工を避けつつ、エナメル生地に過剰に焼き付いたハイライトを抑えて黒とグレーの諧調を重厚に整えました。背景に写り込む雑多な店舗看板や通行人は丁寧にぼかしと減光処理を施し、被写体の存在感をシャープに強調。作業中、通りがかりの子供たちが物珍しそうに大剣を見つめていく微笑ましい光景もありました。
固定スタジオも入念な照明セッティングも存在しないこうした「野生の」アクアシティイベント写真は、写真本来のリアルなドキュメンタリー性を宿しています。完璧な光の回し方に悩むこともなく、タイムスケジュールに追われることもなく、出会った面白い空間をその場で切り取る純粋な楽しさがありました。直フラの光は無骨ですが、そこに宿る空気感は極めてリアルです。モニターに映る冷酷なキャラクターと、その横に置かれた飲みかけのタピオカミルクティーの対比がなんともおかしく感じられました。本日は偶然のストリートスナップ演習ということで、次回もしバッタリ出会った時は、忘れずに補助ライトをバッグに忍ばせておきたいと思います。