鳥居に到着した頃には、すでに空が薄暗くなっていました。当初は午後の光が最も綺麗な時間帯に撮影を終える予定でしたが、道中の様々な遅延が重なり、現地に着いた時にはもう日没間近で、落ち着く間もなく慌ただしく撮影を開始しました。雪の上の気温は想像以上に低く、雪を踏みしめると凍えるほど冷たいだけでなく、黒と赤のプリーツスカートの裾が濡れてしまう恐れもありました。
この衣装は全体的な構造がかなり複雑で、特に背後にある何本もの大きな狐の尻尾は、雪の中を歩いたりしゃがんだりする際に雪が付きやすく、ずっしりとした重みがあるため、自然に美しく広がるよう常に位置を調整し続ける必要がありました。キャラクターの繊細な雰囲気を再現するため、衣装や小道具の準備には長い時間をかけました。ピンクの羽織と白いエプロンにはしっかりとした厚みがあり、赤の飾り紐のディテールや頭の狐耳も特注で制作したものです。赤い油紙傘は雪景色や木造建築の背景の中でひときわ目を引き、風雪を遮るだけでなく、和風の構図の中で視線を導く美しいアクセントになってくれました。
光量が不足していたため、夜間撮影では照明のセッティングが鍵となりました。雪面自体の反射が非常に強いため、光量を抑えめに調整して空と被写体の明暗差を整え、表情や衣装の細やかなディテールの描写に重きを置きました。撮影中はキャラクターとしての佇まいを保ちつつ、カメラマンさんと立ち位置や画角を細かく確認し合いましたが、幸いにも最終的な仕上がりは非常に納得のいくものになりました。わずか1時間ほどの短い撮影ではありましたが、雪上がりの神社で赤い傘を差し、幾重にも連なる鳥居を眺める中で、冬の冷気とともにキャラクターの空気感を肌で実感することができました。ずっと心待ちにしていた企画を無事に完遂でき、心に残る大切な作品を残すことができました。