今回の夜景をテーマにした撮影では、人物の持つリラックス感(松弛感)とシチュエーションによる物語性に重点を置きました。事前の準備段階において、この造花の紅葉と垂れ下がる赤いリボンが雰囲気作りの核心でした。赤いリボンの密度や垂れ下がる方向を調整するだけで、チーム全員で1時間近くを費やしました。これは、それらを自然に生い茂っているように見せつつ、暗い光の中で鮮やかな輪郭を形成させるためです。青黒い仮山石(人工の岩)は様々な場所から集めてきたものですが、幸いにも私の身長と座りポーズが岩の絶妙な隙間にぴったりと収まり、自然な前ボケとなるフレームを作ることができました。
衣装・メイク・小物のディテールについてですが、このレッド・ブラック・ゴールドの配色のアウター(外袍)がとても気に入っています。生地の落ち感が素晴らしく、夜間にサイド逆光を当てると、衣装にあしらわれた金色の暗紋が非常に鮮やかに浮かび上がり、黒髪に散りばめた小さなゴールドの髪飾りと美しく呼応します。インナーには彩度の高い真っ赤な正紅色を選び、襟元から覗く白がレイヤーのグラデーションとして機能しています。ヘアスタイルに関しては、ロングウェーブヘア全体をわざわざ前日に仕上げておきました。数十個のゴールドのリング(金色小环)を使って編み込みを固定し、あえて耳元に数筋の遅れ毛(碎发)を残して輪郭を補正することで、立ち襟の衣装によって首が短く見えてしまうのを防ぎました。ゆったりとした風流な雰囲気を出すために、複雑なアップヘアは選ばず、ロングヘアを肩や岩の上に自由に散らしました。これもキャラクター本来の灑脱な気質に合わせるためです。
実際の撮影プロセスは予想以上に面白く、また挑戦的でした。当日の夜は屋外の気温が非常に低く、周囲には冷たい風が吹き荒れていましたが、幸いにも着込んでいたので助かりました。最初は発煙筒(烟饼)を使って雲霧のエフェクトを作ろうとしましたが、2回連続で失敗してしまいました。煙が完全に上へと立ち上ってしまい、画面に全く映らなかったのです。その後、風下かつ人物の背後にあたる低い位置から煙を投入する手法に切り替えたところ、ようやく煙が岩肌に沿ってゆっくりと広がり、人物の手前に絶妙な霞の遮蔽物を作ってくれました。このような神秘的で物憂げな雰囲気に対して、ポージングをあえて作り込む必要はありません。大半の時間は、岩の上に支点を一つ見つけ、そこから少し体を斜めにして半ば横たわり、腕を自然に垂らしながら、リラックスした視線でレンズを直視していました。一見すると全く力が入っていないように見えますが、実は重心を安定させるために体幹や支えている腕には密かに力が入っています。しかし、表情だけは完全にリラックスさせ、視線を少しうつろにし、どこか無頓着な雰囲気を漂わせることで、浮世離れした、赴くままの自由な状態を古風写真に収めることができました。
ライティングに関しては、あえて引き算をしました。広範囲を照らすフラットな光は使わず、2灯の暖色系スポットライト(暖色聚光灯)を効果的に使用することに重点を置きました。1灯は斜め前の低い位置から顔の輪郭と衣装の上半身を照らし、もう1灯は背後から紅葉とリボンを透過させるように照射して、髪の輪郭を縁取るかすかな逆光(輪郭光)を形成させました。このライティング方法により、画面の背景は完全に闇に沈み、煙霧と赤い紅葉、リボン、そして人物が纏う色彩だけが浮かび上がります。煙は流動的であるため、カメラマンさんは高速連写を使用しました。私が手でリボンを軽く動かした瞬間、煙とオブジェクトのひらひらとした躍動的な美しさを見事に捉えてくれました。仕上がった写真を見て、このような環境の雰囲気をコントロールする上で最も難しいのは、光の明るさと煙の濃度のバランスであると気づしました。光が強すぎると闇の神秘性が壊れてしまい、光が弱すぎると衣装のディテールが見えなくなってしまいます。今回は現場のチームワークが完璧で、レタッチの際も環境の光影にはほとんど手を加えず、主に衣装の細かなシワをなめらかに整える程度に留め、原画の持つ質感と色調を維持しました。
全体のプロセスにおいて準備時間は非常に長く、撮影も真夜中まで及びましたが、結果には全員がとても満足しています。このような廃墟風(廃土風)や神秘的な古風のテイストを持つテーマは、事前のステージング(置景)のこだわりが特に試されます。事前に紅葉、リボン、岩の位置をしっかりと固定し、煙の流れる方向をシミュレートできていれば、撮影そのものは非常にスムーズに進み、自然で飾らない呼吸感を最大限に残すことができます。今回のスタイリングとシチュエーションの組み合わせは、私自身もとても心地よく感じられるものでした。