今回の華やかな洋装の夜景ロケ撮影では、あえて満天の星空が広がる星空のログハウスをロケーションに選びました。
事前の準備は複雑で、最大の難点は現場の明暗差のコントロールにありました。星空の背景は非常に暗い一方、ログハウスの外壁灯や地灯りの輝度が高く、通常の露出設定では人物が闇に沈むか白飛びしてしまいます。そこで今回は手前の広場から暖色系のライトで人物を照らし、背後の冷たい星空とのコントラストを生み出すライティングプランを採用しました。
事前のロケハンでは地面の状態をチェックし、草地や土が多いことを確認しました。ロング丈の華やかな洋装で裾が地面に届く上、ロング丈のオーバーニーソックスを着用しているため、移動中に泥や草が付きやすい状態でした。そのため小さなブラシとウェットティッシュを用意し、数テイク撮るごとに清掃して後処理の手間を減らす工夫をしました。ウィッグの固定も重要で、当夜は風が強かったためヘッドドレスや髪が乱れやすく、多数のUピンとハードスプレーでしっかりホールドし、こまめに状態を確認しました。
撮影には広角レンズを選択しました。星空と天の川の壮大さを表現するだけでなく、広角の遠近感を活かしてログハウスの構造美を引き立て、画面にダイナミックな緊張感と奥行きを持たせるためです。人物は右寄りのセンター付近に配置して端に寄りすぎないようにし、ログハウスの扉やアーチ状の軒先のラインを視線誘導として活用し、被写体へ視線が集まる構図を意識しました。
撮影の途中で地灯りの給電ケーブルが緩むトラブルもありましたが、予備の小型ポータブル電源を持参していたため進行に影響はありませんでした。衣装の生地は美しいものの着脱が非常に大変で、着付けから微調整までに1時間近くかかりました。オーバーニーソックスの伸縮性とフィット感はスカートを整えるためにしゃがんだ際にシワになりやすく、度々引っ張り直す必要がありました。また洋装にはビジューやビーズの装飾が多く、ツタなどに引っかかりやすいため、準備段階で周囲の安全を念入りに確認しました。
実際のライティングでは、軒先のライトが空間全体を包み込む役割を果たしてくれました。壁から約2メートルの位置に立ち、斜め前方からソフトボックス付きのライトを照射しました。芝生の小さな地灯りの光点を考慮し、光が強すぎて顔が平坦にならないよう補助光の位置を少し低めに調整することで、自然な陰影のグラデーションを作りました。このサイド光によって洋装の質感やドレープが立体的に浮かび上がり、スカートのレイヤード感やソックスの質感が一層引き立ちました。
衣装面では、ミニハットとベールをお団子ヘアにしっかり固定しました。軒下は風が通り抜けやすく髪が片側に流れやすかったため、カメラマンのアシスタントが後ろで風除けを手伝ってくれる場面もありました。レースの縁取りや胸元の装飾を綺麗に整え、ボリュームのあるスカートで座る際は折り目が潰れないよう配慮しました。薄手のオーバーニーソックスだったため、夜の芝生に座るとかなり冷え込み、1テイク撮るごとにすぐ上着を羽織って寒さをしのぎました。
構図作りでは、地灯りの暖かな光が芝生の上で蛍のように点灯し、美しいアクセントとなりました。F2.8の開放値を使って手前の草を適度にぼかすことで、空間に豊かな奥行きを演出しました。カメラの高さは腰あたりに構え、少しあおり気味に撮ることで建物のスケール感を強調しました。ポーズを変えるたびに画面の端を確認し、人物が端に寄りすぎていないか、構図の安定感を常に確かめました。
星空の光は非常に微弱なため、長秒露光と完全な静止が求められ、撮影のテンポはゆっくりとしたものでした。夜8時から深夜12時近くまで撮影し、総撮影枚数は100枚足らずでしたが、ピントや光の当たり方が納得のいくカットが多く、歩留まりは上々でした。準備ではコスメのほかにのど飴と虫除けスプレーを多めに持参しました。撤収作業も衣装の細かなパーツを外すなど大変で、宿に戻ったのは深夜1時を回っていましたが、二次元撮影としてリアルなロケーションの空気感を活かしたコスプレ撮影ができ、非常に充実した実りある体験となりました。