8月16日、深センの西涌(シーヨン)ビーチ。潮風が強く吹きつけ、夏の生温かい磯の香りが漂っていました。今回挑んだのは『Identity V 第五人格』の記者のコスプレ。キャラクターの気品をより忠実に表現するため、事前のヘアメイクにはかなりのこだわりを注ぎました。ウィッグはレトロなウェーブ巻きにサイドの三つ編みを組み合わせ、ブルーのヘアバンドをアクセントにプラス。メイクでは目元を重点的に際立たせ、アースカラーのアイシャドウで彫りの深さを演出しつつ、オレンジ系のリップティントを合わせて、記者の鋭い洞察力とどこか冷徹な佇まいを両立させました。衣装には繊細なレースフリルがあしらわれた白の透け感あるランタンスリーブブラウスに、グレーブルーのサスペンダー、ボトムスには青白チェックのプリーツスカートをセレクト。頭上に押し上げた紫黒のサングラスと手にしたアンティーク調のランタンが、世界観の空気感を高める決定的なプロップとして活躍してくれました。
海辺でのロケーション撮影は、光のコントロールにおいて非常にシビアな技術が求められます。午後3〜4時頃の日差しは強烈で、ほぼ真上から直射光が降り注いでいました。顔にきつい影が落ちるのを防ぐため、カメラマンの@龙骧nightfallさんは様々なアングルを検証し、砂浜からの拡散反射光を巧みに利用して光を回してくれました。柔らかな砂浜を歩くのは足を取られやすく、強風にあおられてウィッグやスカートの裾が乱れがちでしたが、そんな時こそ風の流れを味方につける工夫が不可欠です。胸の前で両手を重ねて軽く俯いたり、ランタンを手に風上へ向かってふと振り返ったりすることで、風が髪を自然に美しくなびかせる躍動的なカットを捉えることができました。4枚目のランタンを掲げた写真は夕暮れ時に撮影したもので、あたりが薄暗くなる中、ランタンの放つ暖色系の灯りが顔を照らし、海の寒色系ブルーと美しいコントラストを描き出して唯一無二の質感を醸し出してくれました。その日は白昼から夜の帳が下りるまで何テイクも撮影を重ね、衣装には汗と潮の香りが染み込んでいました。
コスプレとは単に衣装を着て綺麗な写真を数枚撮ることにとどまらず、特定のシチュエーションにおいてキャラクターがどう息づくかを追体験することだと常々感じています。広大で誰もいない砂浜に佇み、潮風を受けながらランタンを掲げて前を見つめていると、本当にその世界へ足を踏み入れたような深い没入感に包まれました。この写真は撮影してからしばらく経ち、ハードディスクの中で眠ったままになっていましたが、最近のデータ整理で掘り起こし、お気に入りのカットをセレクトして公開することにしました。この海辺のコスプレで収めたサマーフィルムが、この夏のロケーション撮影の素敵な締めくくりになれば幸いです。