雨上がりのキャンパスでこのJK制服の撮影に臨んだ際、事前の制限は少なくありませんでしたが、仕上がった作品は晴天時を遥かに超える上質な風合いを宿してくれました。降り止んだばかりの雨により空気は湿り気を帯びた土の香りに満ち、足元には無数の水たまりが広がっていました。透明のビニール傘を手にして校内に足を踏み入れた時は綿密なカット割りを決めず、歩きながら心惹かれた場所で気の向くままにシャッターを切っていきました。衣装には正統派の白の半袖セーラー服にダークネイビーのプリーツスカートをセレクト。襟元の淡いブルースカーフと深みのあるスカートのコントラストが、清廉で端正な美しさを引き立てます。足元にはオーバーニー丈の黒ストッキングとダークブラウンのローファーを合わせ、このクラシックなJK制服のスタイリングによってレンズの前ですらりと伸びる脚のラインを明確に演出。雨上がりの情緒を深めるため、黒のレザーリュックと鮮やかなオレンジのヘッドホンをプラス。このオレンジの差し色が、雨の日の雰囲気が持つ冷涼な青緑のトーンの中で息をのむほど鮮烈なアクセントとして輝いてくれました。
今回の機材構成は主に富士フイルムX100VIにビルトロックスのTCLテレコンバージョンレンズを組み合わせたものです。雨天特有の拡散光は非常に柔らかく硬い影が一切生じないため、ポートレート撮影にはまさに理想的な光質でした。コンバージョンレンズを装着したことで換算焦点距離がバストアップやクローズアップに最適な画角となり、富士ならではのフィルムシミュレーションの美しい階調が最大限に引き出されました。青緑寄りのトーンを選んでしっとりとした冷たさを強調しつつ、カメラ内ホワイトバランスをわずかにシフトさせて肌色がくすんで沈まないよう調整。グラウンドの白いゴールネットに身を寄せて伸びやかに背伸びをするカットでは、黒ストッキングと絶対領域のバランスを美しく魅せるため、ネットの前で膝を抱えて座るポージングを採用し、スカートの裾から履き口にかけての素肌の余白を優雅に切り取りました。また、透明傘と濡れた地面の相性は格別で、ベンチに腰掛けて傘を傾けたり水たまりの傍らで高く掲げたりすると、湿り気を帯びた空気とビニール越しに美しい光の屈折が生まれました。校舎内の階段踊り場にあるガラス窓も嬉しい発見で、澄み切った光の中でヘッドホンを手に音楽を聴く仕草や振り返りざまの自然なキャンパスフォトを捉えることができました。
この写真について語る上で、連日のレタッチ作業の過酷さに触れないわけにはいきません。窓の外が爽やかに晴れ渡っていく中、PCの前で雨天のRawデータと向き合い色彩を微調整し続ける時間は、まさに生みの苦しみと喜びに満ちたものでした。曇天のポストプロセスは晴れの日以上に難しく、透明感を保ちながら過度な露光アップで本来の冷涼な情緒を損なわないよう細心の注意を払いました。水面の反射光、雨滴を纏った青葉の輝き、そして制服の青と白の対比を丁寧に際立たせる作業を徹底。雨天の撮影は光量不足や機材の水濡れ、体感温度の低さなど敬遠されがちですが、雨上がりの瑞々しい艶感や水滴、水たまりの映り込み、そして拡散光がもたらす素肌の滑らかな質感は、晴れの日には決して真似できない唯一無二の魅力です。事前準備を整えて透明傘を携えれば、雨の日の雰囲気の中でも感情豊かで質感あふれる日本風写真が必ず結実します。約1週間かけて光と影を丹念に磨き上げたこの作品たちを、皆様に楽しんでいただけたら幸いです。