今回は『ALIEN STAGE』のmisu、mizi、suaに挑戦しました。今回公開した写真は2人の抱擁シーンを切り取ったものですが、作品全体では3人の異なる立ち位置や感情の揺らぎを幅広く表現しています。この企画が立ち上がった当初から、衣装と小道具の再現度が作品の核になると確信していました。黒のノースリーブワンピースと白のプリーツトップスは型紙から特注で仕立て、柔らかな光の下でも質感を損なわずに画面を引き締められるよう、適度なドレープ感と光沢を持つ生地を厳選しました。最も試行錯誤を重ねたのは白い翼と黒い翼のシルエットです。白い翼には長さの異なる3層の羽根パーツを使用し、根元のしっかりとした骨組みから先端の柔らかな毛並みに至るまで全て手作業で貼り合わせました。片翼だけで1キロ以上の重さがあり、撮影中も翼を自然に広げた状態をキープするためにショルダーストラップを強く締め付ける必要がありましたが、完成した写真で羽根の縁がふんわりと光を纏う姿を目にしたとき、すべての苦労が報われたと感じました。
ウィッグに関しては、黒髪ショートは前髪のカーブを3回にわたって微調整し、目元をかすかに覆う絶妙な長さに整えました。ピンクのショートヘアには耐熱ファイバーを使用し、頭の黒いレザー風アイマスクはテカリで視線を奪わないようマット加工を施した特注パーツを取り入れています。キャラクター同士の強い絆を表現するため、抱き合うポーズを何度も試行錯誤し、最終的に横顔を重ねて手を握り合う構図に決定しました。翼の全体的なフォルムを綺麗に見せつつ、絡み合う腕を通じて互いに依存し支え合う力を表現できるからです。撮影はグラデーションの背景布の前で行い、ソフトボックス2灯とレフ板を使って光を柔らかく拡散させ、紫がかった青の背景を霧のように滲ませることで、儚くも美しい世界観を作り上げました。
この撮影で最も難しかったのは技術面以上に「感情の没入」でした。『ALIEN STAGE』の世界観とキャラクター同士の絆は非常に重厚です。撮影前にパートナーと約2時間をかけてキャラクターの背景や関係性を語り合い、鏡の前で視線や手の添え方を何度も確認しました。この徹底した準備があったからこそ、シャッターが切られた瞬間、演じている感覚を忘れ、まるで物語の中で実際に交わされた対話を再現しているかのような心境になりました。カメラマンも過度な指示を出さず、私たちの自然な空気感に寄り添いながら中望遠レンズで最も生々しい瞬間を捉えてくれました。
レタッチでは過度な変形加工は避け、肌本来の質感を保ちながら全体のトーンを整えることに注力しました。背景のブルーパープルと人物の黒・白・ピンクのカラーバランスを整え、仕上げに極薄いソフトグロー効果を重ねることで、羽根の縁や髪の毛先に柔らかな光の散乱を生み出しました。タイポグラフィについても迷いましたが、「My God, my universe(私の神、私の宇宙)」というフレーズが互いを支え合う関係性にあまりにも合致していたため、視線を遮らないよう上部の余白に控えめに配置しました。
企画から完成まで約1ヶ月半を費やし、型紙作りから試着、本番の撮影に至るまで様々な出来事がありました。運搬中に白い翼の羽根が数本抜けてしまい現場でグルーガンを使って修復したり、黒いワンピースの肩紐がずれないよう両面テープで固定したりと、こうしたリアルなハプニングの数々が天使と悪魔のようなこの作品作りをより温かく忘れがたいものにしてくれました。素晴らしいキャラクター表現とは、単に外見を似せることだけではなく、その人物がなぜ笑い、なぜ涙を流すのかを深く理解しようとする姿勢にあると信じています。この写真は、私たちが心から共鳴したあの瞬間をそのまま閉じ込めた一枚です。