丸一日かけてセットの設営を行い、紫陽花やつる植物の配置を整えるだけでもかなりの時間を費やしましたが、最終的にはファンタジーガーデン特有の静謐な空気感を美しく引き出すことができました。今回撮影したキャラクターはニコ・リヤンです。衣装は白・紫・青が調和した配色で、金色のラインや幾何学的なカッティングが施され、オフショルダーにフレアスリーブを合わせたディテール豊かな仕立てになっています。全体の雰囲気に合わせ、明るいブロンドのストレートロングウィッグと鮮やかなブルーのカラコンを選び、額には赤い菱形の印を描きました。
撮影機材にはHasselblad X2D II 100Cを使用しました。このカメラの描写力はまさに圧巻で、ドレスのレースの質感や袖口のリボン、髪飾りの金属光沢に至るまで、緻密かつ繊細に捉えてくれました。撮影中、最も気に入っているのは白いヨーロピアン調のソファで撮ったカットです。白ストッキングに白い太ヒールのパンプスを合わせ、毛足の長い絨毯の上でバランスを保ちながらポーズを取るのは想像以上に体幹を意識する作業でした。本を手に持ち、体のラインを自然に緩めつつ、片足を軽く重ねて開いたページを両手で優しく包み込みました。カメラの画角を調整する際(自分自身がカメラマンも兼ねているため)、ドレープカーテンを透かして白いチュールスカートに降り注ぐ光の透明感へ常に気を配る必要がありました。ティーカップを掲げる一連の所作では、手のブレを抑えるだけでなく、瞳に穏やかさと優しさを宿すことを意識しました。
撮影前、声を失いながらも過去を大切に抱き、迷える者へ優しく道を示すその情感をどう表現すべきかずっと考えていました。そのため過度に大げさなポーズは避け、内省的で控えめな佇まいを意識しています。ソファで本に目を落としたり、花壇の中に正座して本を抱きながら少し首を傾げたりと、静かな身体言語によって設定に寄り添おうと試みました。スカートにあしらわれた青いシアーやパールチェーンが絡まりやすく、こまめな手直しが必要になるなど苦労もありましたが、白い彫刻屏風や燭台などの小道具が幻想的な没入感を高めてくれ、クラシカルな世界観へスムーズに入り込むことができました。
準備から終幕に至るまで、ファインダー越しに彼女の空間が少しずつ形作られていく瞬間を見届けることこそが、コスプレ撮影の最大の醍醐味でした。シャッターを切るたび、光と影が定着するだけでなく、彼女の物語を再び深く理解していくような感覚を覚えました。仕上がった写真を整理しながら、ニコ・リヤンと巡り逢えたこの時間は、まさに「物語は決して終わらない。彼女は今もそこにあり、彼女なりのやり方で全てを見守っている」という言葉を実感させてくれるものでした。