今回『アークナイツ』のプリーステス コスプレを撮影するにあたり、記憶や時間の「断片化(フラグメント感)」を強く表現したいと考えました。理想のビジュアルを追求するため、事前準備として大判の透明フィルム、天井から吊るした映画フィルム、そして壁面に拡大された瞳と視線を映し出す巨大なプロジェクターなど、多彩な小道具を用意しました。その空間に立つと、冷たく見つめられるような審視の眼差しに一瞬で包み込まれる感覚を覚えました。頭上やサイドに浮かぶ菱形の光体、鮮明な無限(インフィニティ)マーク、そして足元に散らばるフィルムロールが、データ虚空に佇む彼女特有の二次元的な気品を見事に再現してくれました。
衣装やコーディネートでは細部のこだわりに注力しました。象徴的な白衣はマストアイテムで、インナーには白シャツと黒のタイトスカートを合わせました。立ち姿のシルエットをより美しく引き締めるため、黒ストッキングとハイヒールを着用。写真全体が非常にクールで青みがかった独特のトーンだったため、メイクでは瞳の紫青色を際立たせ、赤みのあるリップで寒色をわずかに中和することで、深遠でどこか捉えどころのない眼差しを演出しました。ロングヘアのセットも重要な鍵で、適度なウェーブのうねりを持たせ、無造作でありながら計算された毛流れを作り、キャラクター設定に忠実に仕上げました。
写真撮影のプロセスは非常に刺激的で、カメラマンさんが多彩な画角を駆使してくれました。散乱したフィルムの中に横たわって見上げる俯瞰カットや、巨大な瞳の投影の前に立つ全身写真など幅広く挑戦。中でも最も印象深かったのは割れたレンズ越しに撮影した顔のアップで、砕けた幾何学的な破片が表情を分断し、キャラクターが背負う複雑な心情に寄り添う独特のビジュアルを生み出しました。透明なビニールフィルム越しに瞳を捉えたカットも、夢幻的で幻想的な空気感を見事に捉えています。また、フィルムを手に持ち、温かみのあるアンバー(暖黄色)の背景の前に横向きで佇むカットは、周囲の寒色との強烈なコントラストが美しく、とても気に入っています。
現像・レタッチでは過度なエフェクトを避け、世界観の空気感をそのまま残すことを最優先にしました。寒色と暖色の色彩対比によって空間を演出し、青と白のグラデーションを冷涼かつ優美に仕上げています。こうした意識の流れを象徴するキャラクターを演じる際は、単なる原画のトレース以上に、内面から滲み出る神韻や気品こそが重要だと感じています。そのため微細な表情の変化をコントロールし、淡々としつつもどこか憂いを帯びた感情を表現するよう努めました。現場は非常に寒く、薄手のシャツと黒ストッキングでの過酷な撮影でしたが、深呼吸を繰り返してコンディションを維持しました。苦労は多かったものの、完成した写真撮影の成果を目にした瞬間、すべての努力が報われたと実感しました。これまでのスタイルを一歩踏み越えた新たな探求とブレイクスルーとなる作品になりました。