スーパーの裏口の雰囲気というシチュエーションにおいて、煙草をくゆらす気だるげなニュアンスを体現するには、身体の所作と細やかな表情管理が何より重要でした。田山さんと山田さんが纏うストリート感あふれる反抗的な魅力と、どこか退廃的な世界観に寄り添うため、スタイリングには細心の配慮を重ねました。光沢感のあるショート丈の黒レザーコーデを主役に据え、インナーにはタイトな白の半袖Tシャツ、ボトムスにはドレープが効いた白のタイトスカートにシアーな黒ストッキングをセレクト。白のチャンキーヒールミドルブーツが脚のラインをすらりと長く見せつつ、メタルバックルの意匠が程よいハードさを添えてくれます。首元の黒いチョーカーや赤い組紐に緑のチャームをあしらったネックレスが胸元のディテールを豊かに彩り、鮮烈な赤髪と赤いリップが視覚的なインパクトを一層際立たせました。
撮影ロケーションには商業施設の静かな一角を選定し、背景のグレーのパーテーションとガラス扉が美しい奥行きをもたらしてくれました。理想の空気感を捉えるため、多彩なポージングを試行。壁に背を預けて床に座り脚を伸ばす姿勢では、黒ストッキングの長い脚のラインを美しく見せつつ、煙草を挟む指先の脱力感を意識しました。続いて白いキャリーケースの上に腰掛けて脚を組むポーズでは、ケースの高さを活かして全体のプロポーションを補正し、脚の美しさを際立たせるアングルを追求。立ち姿では壁面を支えに腕を組んで煙草を構えたり、ジャケットを肩から少し崩してデコルテやウエストのくびれを強調したりと工夫しました。アンニュイでクールな魅力を引き出すため、レンズを真っ直ぐ見据える視線や伏し目がちな眼差しなど、いかに肩の力を抜いた自然体を保てるかを大切にしました。
小道具の活用もこの世界観を完成させる大きな鍵となりました。煙草は無理に着火しなくても、指で挟む角度や煙のたなびきを意識した所作が光影と美しく呼応。撮影の合間に仕込んだ小型のポータブルファンが髪や衣装に程よい揺らぎを与えてくれました。カメラマンさんは寒色寄りのトーンでまとめ、商業施設の照明と自然光を巧みにミックスして立体的な陰影を描き出してくれました。脚の組み方、腕の曲がり具合、微細な表情の変化に至るまで何度も擦り合わせを重ね、準備から本番まで手間を惜しまず向き合った結果、思い描いていた通りの重厚な質感を形にすることができました。物語性を閉じ込めたこの作品を残せたことは、投入した時間以上の大きな充実感を与えてくれました。