今回の『鳴潮』心月狐のコスプレ本編撮影は、事前準備から完成データの仕上がりに至るまで約半月を費やしました。心月狐というキャラクターは極めて濃厚な東洋ファンタジーの意匠を纏っているため、衣装、メイク、そしてロケーション選びに至るまで入念なリサーチを重ねました。衣装は特注の仕立てで、黒・赤・白が織りなす生地は豊かなレイヤー構造を持っており、特に胸元の輝く宝石や複雑な金属装飾は、着付けの際に位置をミリ単位で整える必要がありました。頭上の獣耳と襟元のファーが生き生きとした妖艶な気品を添えてくれます。小道具と被写体をより美しく調和させるため、毛筆の書が染め抜かれた薄絹の帳(とばり)や碁盤が備えられた本格的な和風・古風スタジオをセレクト。カメラマンの@-空白- さんが照明設計に多くの工夫を凝らしてくださり、行灯の温かな灯りと木製スクリーンが見事に溶け合い、極上の風情を醸し出してくれました。
撮影中は心月狐特有の気だるげなアンニュイさと危険な香りを放つ佇まいを表現するため、所作と表情の微調整を幾重にも繰り返しました。赤いカラコンと深みのある濃いめのアイメイクで眼差しに鋭い攻撃性を宿らせ、艶やかな赤リップと顔に施した紅の文様ペイントも丹念に描き上げました。この重厚で複雑な衣装を着こなすため、片足立ちや木製チェアの上で足を組むポーズ、あるいは毛皮の敷物の上に横たわり巻物を手にする姿など、多彩なアプローチを模索。半開きの和傘や碁盤は画面の構図を整える絶妙な小道具として機能し、生活感を漂わせつつもキャラクターの持つ神秘的な深みをより立体的に引き立ててくれました。
三次元への具現化という挑戦に加え、心月狐という唯一無二の存在感を表現するにあたり、表情や姿勢のコントロールには確かな難しさがありました。数多くの資料を研究し、彼女の威厳と妖艶さが美しく同居する佇まいを模索し続けました。スタジオ内の気温は決して高くなく、露出度のある衣装でポーズを取り続けるのは体力的にもハードでしたが、完成した写真に宿る生地の高級感と光と影の調和を目にした瞬間、すべての苦労が報われたと実感しました。全体の空気感は思い描いていた理想に美しく結実したと感じています。キャラクターの解釈には人それぞれの感じ方があると思いますが、私自身にとって新たな挑戦と表現の突破口となりました。親身にディレクションしてくださったカメラマンさん、小道具やメイクの調整を支えてくれた仲間に心から感謝いたします。多少のキャラクター崩れ(OOC)はお許しいただき、純粋に作品として楽しんでいただければ幸いです。撮影の工夫やコーディネートのこだわりについて、同好の皆様と語り合える機会を心より楽しみにしています。