今回の撮影テーマは春に設定し、ロケーションには多くの梨の花の要素を取り入れ、クラシカルな東屋や帳(とばり)を添えることで、全体として清らかで優しい東洋ファンタジーの雰囲気を演出しました。
この衣装は一見すると軽やかに見えますが、実はかなりの重量があります。身につけたテック系金属バックルやアーマーだけでも何層も重なっており、歩く際の洗練された動きを保つため、帯の位置やベルトの締め具合を何度も微調整しました。袖の部分は異なる生地をパッチワーク(切り替え)しており、レースのドレープ感を残しつつも型崩れしないシルエットを維持させています。ダークカラーのインナーの隠し柄は、暖色系の光を浴びて初めて浮かび上がります。ヘアスタイルには多くのレイヤーを重ね、頭頂部の特製角パーツに加えて、毛先の赤いグラデーションを意図的に長めに伸ばすことで衣装の赤のディテールと調和させ、強い光を当てなくても色が自然に繋がるようにしました。
現場にある巨大な発光する満月は、実は手作りの透光素材で作られたものです。撮影時にはあえて暗い背景を残し、主に左側の木目調ランタンと背後の満月によるフロントサイド逆光を利用することで、人物のシルエットを浮き立たせつつ顔の暗部が潰れるのを防ぎました。床の霧はフォグマシンで焚いたもので、湿度が巧みにコントロールされているため、煙が低い位置で自然にたなびき、下半身のラインを完全に隠してしまうこともありません。紙傘の墨絵風の筆致と背後の帳に書かれた草書が視覚的な統一感をもたらし、画面全体に一押しの風情と詩情(写意)を与えてくれました。
撮影全般を通して、腕の配置には常に気を配る必要がありました。手にした紙傘を高すぎる位置に構えると顔の光影を遮ってしまい、低すぎると姿勢がぎこちなく見えてしまうため、7〜8種類の手の角度を繰り返し試し、最終的に伸びやかでありながら横顔の輪郭も綺麗に見える決めポーズを確定させました。2組目のアクションは主に座りポーズを採用しました。これによりスカートの裾が水墨のように自然に広がり、脚のライン、ロングブーツ、アンドストラップの組み合わせを完璧に魅せることができました。
この一連の写真は事前準備への依存度が高く、レタッチで光影の原形を消すような修正はほとんど行っていません。スタジオの面積は決して広くありませんが、丹頂鶴のプロップや手書きの書道掛軸をランダムに配置することで、空間に奥行きのある立体的なレイヤー感を生み出しました。また、色温度の異なる補助光機材をいくつか持ち込み、前景の花枝の近くには小型の暖色LEDスティックライトを設置して花の受光面を明るく補正し、画面の遠近感が失われないように工夫しました。撮影には開放F値の単焦点レンズを採用し、明暗差の激しい環境下でもギクシャクした光の断裂が生じないように配慮されています。メイク面では、髪の毛先の色に合わせてオレンジレッド系のアイシャドウを使用し、目尻をやや外側に伸ばすことで、単に格好良いだけでなく、キャラクターの清らかでどこか神聖な側面を際立たせました。
身体の動作一つひとつの伸びやかさをコントロールしつつ、表情の自然なリラックス感を維持すること、これがこの手の二次元撮影において最もバランスの難しいポイントです。連写による微調整を重ねるうちに徐々にゾーンに入り、キャラクターと一体化していく感覚を得られました。今回のカメラマンとの連携は非常にスムーズで、私たちがスカートの向きを整えている時も絶妙なアングルを逃さず捉えてくれ、道具の細かなズレも事前に防いでくれました。本編写真を撮る醍醐味は、実はテーブルの上に置かれた青花磁器の瓶や背後に掛けられた墨跡の紗幕といった細部にこそあり、それらの存在が写真全体に確固たるストーリーの基盤を与えてくれています。