今回の退魔をテーマにした撮影は、クリエイティブディレクターとの打ち合わせから実施まで約1週間の準備期間をかけました。完全な古典和風でも単なる現代日常でもない独自の世界観を創り出すため、白ホリゾントスタジオに大胆な赤バックを組み合わせ、重厚で鮮烈な視覚的インパクトを狙いました。
スタイリング面では、ベーシックなセーラー服をベースに採用。戦闘直後の痕跡をリアルに表現するため、衣装担当のスタッフさんが白い生地の上に舞台用血糊や絵の具をランダムに散らし、リアルな飛沫と染み加工を施しました。このウェザリング(汚し加工)とダメージ感が、無傷の衣装以上に豊かな物語性と説得力をもたらしてくれます。頭には伝統的な竹編みの笠(竹笠)を被り、怪しく異様な気配を強調するため、笠の縁に白いタッセル紐をあしらいました。手にした長柄の武器は実心の鉄製で見た目以上にずっしりと重く、ポーズを自然かつ軽快に見せるために腕と腰の体幹でしっかりと支え続ける必要がありました。
最も目を引くキーアイテムは、傍らに配した漆黒の大型バイクです。伝統的な竹笠、セーラー服、そして現代の工業マシンという異質な要素の衝突こそが、今回の最大のビジュアルコンセプトでした。バイクの無骨でハードな質感に合わせ、メイクでは甘さを削ぎ落とし、クールトーンのアイメイクと黒髪ショートウィッグで人を寄せ付けない冷徹な眼差しを演出。足元は黒のフラットシューズに黒のミディ丈スカートを合わせ、バイクの横での足開きやもたれかかり、しゃがみ込みといった動作を俊敏かつスタイリッシュに見せられるよう工夫しました。
白ホリでのセーラー服撮影はライティングの腕が大きく問われます。ダークでミステリアスな空気感を醸し出すため、メインライトには硬質な光を当て、斜め後ろからの逆光で輪郭をシャープに際立たせ、背景の赤い光はカラーフィルターを用いて単独で照射。これにより影の輪郭が鋭く深く落ち、撮って出しのデータでも重厚な質感が生まれました。色調補正では赤と黒のコントラストを強調しつつ、過度な美肌加工を避けて衣装の織り目や素肌の生々しい質感を残し、リアルな粒子感と戦闘の無骨さを際立たせました。
カメラの前で長柄武器を構えてバイクに寄り添う際は、獲物を見据えるような研ぎ澄まされた視線を常に意識。セーラー服を着ていながらも愛らしさは完全に封印し、百戦錬磨の退魔師ならではの冷酷さ、研ぎ澄まされた気迫、そして一撃で仕留める殺気を表現しました。カメラマンさんが常に「静けさの中に潜む危険な気配」へと導いてくださり、体力的な消耗は激しかったものの、完成した写真の冷徹で妖美な空気感はまさに思い描いていたコンセプトそのものでした。