今回の洱海(アルハイ)湖畔での撮影では、素晴らしい風に恵まれました。博麗霊夢が風と舞い踊るような空気感を表現するため、フル装備で撮影に臨みました。この赤と白を基調とした巫女装束は細部まで作り込まれており、特に大きな赤いリボンは一面の花畑の中で抜群の存在感を放ちます。スカートは贅沢な多重構造で、白いフリルと赤い鋸歯状の波模様が重なり合い、歩くたびに美しいドレープを見せてくれます。袖は分離型のアームスリーブ仕様で、白い袖に赤い編み紐が結ばれており、腕のポージングも非常に自由にしなやかに行えました。
小道具には、金の鈴が付いた短い錫杖と、白い紙垂(しで)をあしらった御幣(ごへい)を用意しました。視覚的なインパクトをさらに高めるため、赤・黄・青・緑など色鮮やかな長いリボンを結びつけています。花畑での撮影は穏やかで優美なものになるかと思いきや、大理の風は非常に強く、リボンや紙垂が風に煽られて絡まることもしばしばでした。ですがそれも怪我の功名で、この力強い風のおかげで、画面の中に自然で軽やかに舞い上がるような躍動感が生まれ、写真に生き生きとした魂を吹き込んでくれました。
ロケ地にはピンクと白のコスモスが一面に咲き誇る草原を選びました。ベストな光を捉えるため、カメラマンさんは絶えずアングルを吟味。巨大な枯れ木の上に腰掛け、背景にきらめく洱海の湖面と岸辺の黄色い小舟が広がるカットはお気に入りのひとつです。太い木の幹に座った際、黒ストッキング(オーバーニーソックス)を合わせていたことで脚のラインが自然と引き立ちました。風がスカートの裾をふわりと持ち上げると、軽やかでありながら芯のある美しさが際立ちます。あおりのアングルを多く取り入れることで、どこまでも広がる空と木々を捉えつつ、空中へダイナミックに広がるリボンの軌跡を一枚の中に美しく収めることができました。
御幣を掲げるポーズは、長時間腕を上げ続けなければならず腕力勝負でしたが、紙垂が綺麗な弧を描く瞬間を逃さないよう粘り強く姿勢を保ちました。撮影は全身を使うため体力的にはハードでしたが、カメラのモニターに幻想郷からそのまま飛び出してきたかのような世界が広がるのを目にした瞬間、すべての苦労が報われたと実感しました。洱海の空は吸い込まれるように青く、雲はどこまでも白く、木漏れ日の光と影は驚くほど優美でした。今回のロケは単なる撮影にとどまらず、風のささやきに耳を澄ませながらキャラクターと心を通わせ、この美しい大地にかけがえのない記憶を刻み込む特別な体験となりました。
花畑の中を駆け抜けるシーンは特に体力を使いました。草丈が高いため足を取られて転倒しないよう気を配りつつ、表情には巫女らしい落ち着きと優美さを保たなければなりませんでした。カメラへ向かってそっと手を差し伸べたり、軽く首を傾げて振り返ったりと、巫女の持つ凛とした威厳とファンタジックな美しさを切り取るべく試行錯誤を重ねました。衣装の質感にも強くこだわり、逆光で透けて安っぽく見えないよう裏地の生地を吟味。赤の彩度が非常に高いため、背景がごちゃついた場所を避け、緑の木々が美しく映える広大な草原を選びました。ヘアメイクも入念に仕上げ、生き生きとした透明感ある表情を引き出すためにアイメイクを繊細に整えています。
小道具のディテールも妥協せず追求しました。錫杖にあしらわれた小さな鈴の一つひとつが太陽の光を浴びて繊細に煌めき、あおり構図の中で自然と視線を集めるアイキャッチになってくれました。白い紙垂がついた御幣も輪郭がくっきりと際立ち、青空をバックに美しい軌跡を描いてくれます。屋外ロケで最も神経を使うのは天候と光の移ろいです。大理の日差しは力強いものの、流れる雲によって光量が目まぐるしく変化します。そのため光が陰れば休息を取り、太陽が雲を突き抜けた瞬間に一気に集中してシャッターを切りました。枯れ木に腰掛けたカットでは、樹皮の無骨な質感とスカートの柔らかなドレープが鮮烈なコントラストを生み出し、黒ストッキングが独特の艶やかな気品を添えてくれました。花畑の幻想的な可憐さと、洱海の雄大な広がりをあわせ持つ今回の博麗霊夢。夏の陽光に包まれた楽園の巫女の姿を、多くの方に楽しんでいただけたら嬉しいです。