今回お届けするチェシャー コスプレのボツ稿記録は、以前カメラマンさんと教会のシチュエーションで撮影したものです。『アズールレーン』のキャラクターであるチェシャーのこのドレスは非常にデザインが重厚で、特に幾重にも重なるチュールの裾や繊細なレースのディテールが多く、衣装や小道具の準備において大きな挑戦となりました。
撮影時の逆光がもたらす光のハレーションは、幻想的な空気感を演出する逆光ポートレートとしての強みであると同時に、被写体の顔がアンダーになりやすいという難しさもありました。そのため、レタッチではシャドウ部の質感を持ち上げつつ、ハイライトの透明感を維持する必要がありました。ボツ稿だからといって不完全というわけではなく、むしろ計算外の自然な瞬間が予期せぬ驚きをもたらしてくれると私は常に思っています。当日は風がとても強く、スカートの裾をつまむ仕草やリボンのたなびき、そして差し込む光条を捉えられたのは幸運でした。最終的に本番の決定カットとしては採用されませんでしたが、シェアする価値のある一枚であり、カメラマンさんと光を微調整し続けた舞台裏の記録として残しておきたいと思います。
今回の撮影に向けた準備について簡単にお話しします。チェシャーのエメラルドグリーンのロングヘアは、カール感をキープするために特別な手入れが必要で、ヘッドドレスの固定にも細心の注意を払いました。衣装自体もかなり重さがあり、スカートの裾が長いため移動が大変で、特に板張りのフローリングでは滑り止めにも気を配りました。裾を踏んでしまいやすいため歩く際は慎重に持ち上げ、足元の粗が見えないように動作をコントロールしました。また床を移動する際も、光が強すぎる場所を踏むと白いハイヒールが白飛びしてしまうため、立ち位置にも配慮しました。
カメラマンさんのリードは非常に的確で、手にした剣を構えながら様々な立ちポーズを試し、背景にある教会の窓と美しく呼応するように工夫してくれました。光の角度は常に変わり続け、床に落ちた虹色のプリズムが絶妙な位置に差し込むなど、偶然の構図が画面を一段と引き立ててくれました。スカートの動きを綺麗に見せるために何度も歩行やターンを繰り返し、風の強さもコントロールできなかったため、整えたばかりの髪が風で乱れて直す作業は体力的にも大変でした。幸いにも、このボツ稿記録として切り取られたスカートの広がりはとても自然で、半透明の生地が逆光を受けて美しく透け、軽やかな浮遊感を表現してくれました。
レタッチでは、光の透過感を強調するためにハイライトの白飛びしたエリアをあえて一部残し、同時に人物の輪郭を明るく引き立たせて背景から自然に浮き彫りにしました。このボツ写真を見返すたび、あの日の素晴らしい光と心地よい撮影のリズムが鮮明に思い出されます。現場ではスカートが引っかかったり髪が乱れたりといったリアルなハプニングもありましたが、そうしたリアリティこそがこの写真の唯一無二の雰囲気を生み出してくれました。また今回のアズールレーンの二次元コスプレ作品として、キャラクターの再現度も納得のいくレベルまで突き詰めることができました。元々は顔の露出を再調整する予定でしたが、少しヴェールをまとったような曖昧で幻想的なトーンを残す方が、この光と影の空間にふさわしいと感じました。撮影時のやり取りも楽しく、向かい側のカメラマンさんからの細やかな指示を受けながら、体をひねったり首を傾げたりして正面で剣を構えました。この構図は何テイクも試行錯誤して辿り着いたもので、被写体を中央に据えつつ背後の窓の幾何学模様を美しく見せる設計になっています。構図からライティングまで、このボツ稿記録が皆様の撮影やレタッチのヒントになれば幸いです。