今回の『鳴潮』ショアキーパー コスプレの撮影では、思い切ってフィルム撮影を選択しました。当初は二次元のキャラクターとフィルムの質感が乖離してしまうのではないかと心配していましたが、現像された写真を目にすると、驚くほど美しく調和していました。
ショアキーパーの設定に寄り添うため、衣装には青と白が交錯する光沢素材と半透明のシースルーチュールを採用し、スカートの裾には水面の波紋を思わせる長いトレーンをあしらいました。ヘッドドレスには白い半透明のウェディングベールと青髪の蝶を連想させる青い蝶の髪飾りを合わせ、首元には黄色い宝石が嵌め込まれたシルバーチョーカーを着用。メイクには赤紫色のカラコンを選び、目の下のチークをやや濃いめに入れ、血色感のあるリップを合わせました。デジタルカメラの前では過剰に見えがちなこのメイクも、フィルムならではの豊かなラティチュード(階調表現)のおかげで驚くほど柔らかく馴染み、どこか懐かしいヴィンテージな年代感を醸し出してくれました。
今回の撮影では、カメラマンの孫山河先生による光と影のコントロールが極めて卓越していました。現場には無数の青い蝶の小道具が散りばめられ、スカートの裾に留まるものや、指先へと舞い降りるものなど多彩に配置。写真2枚目の、胸の前で両手を重ね合わせ、手のひらに青い蝶を宿らせたクローズアップこそ、いわゆる「二次元の最愛の妻との最初の触れ合い」を表現した一枚です。この心を通わせるカットを美しく収めるため、腕の所作や蝶の位置を何度も調整し、遠近法と被写界深度の絶妙な関係を活かして、次元を超えた交感を演出しました。フィルムカメラはその場でプレビュー確認ができないため、一度のシャッターごとに細部まで魂を込める必要があり、その未知のワクワク感が撮影プロセス全体を期待感で満たしてくれました。
ライティング面では、衣装の生地にホログラムや光沢を放つ素材が多く含まれていたため、テカリの制御が大きな難関となりました。様々なアングルを試行錯誤し、最終的には柔らかな拡散光を活用することで、シルバー生地特有の金属光沢を美しく保ちつつ、ハイライトの白飛びを防ぎました。ベールやトレーンの落ち感も入念に整え、静止画の中でも最も自然で優美な広がりを魅せられるよう配慮しました。1枚目の写真はプラットフォームの審査の都合上、四角いモザイクが入ってしまいましたが、画面全体の構図が持つ力強い視覚的テンションはしっかりと保たれています。
撮影当日は、この複雑で繊細な衣装を纏い、ウィッグに散らしたラメの調整からスカートのドレープの手入れに至るまで、かなりの時間を費やしました。フィルム撮影ならではのゆったりとしたテンポ感は、かえって私をキャラクターの心情へと深く没入させてくれました。仕上がった写真は、シルバーのベールも青い蝶も、フィルム特有の心地よい粒子感と豊かな色彩の階調を湛え、全体としてまさにレトロウェディングフォトのような上質な空気を纏っていました。過剰な演出に頼るのではなく、光と小道具の丁寧な探求によって創り上げられた作品です。フィルム撮影という伝統的な表現媒体を通じて、『鳴潮』のショアキーパーが放つSF的かつ神秘的な魅力を記録できたことは、本当に意義深い貴重な挑戦となりました。