担当者と最初から最後まで話が噛み合わなかった結果、今回の撮影計画は完全な大誤算に見舞われました。本来は映画スタジオの屋内で撮影する予定だったのですが、現場に着くとイベントのため正面入口が封鎖されており、別館のネオンが輝く通路で環境光を頼りに急遽撮影する羽目になりました。スポンサーのマクドナルドからマックフルーリーを3つ差し入れてもらったものの、現場の気温が高くてアイスが急速に溶けてしまい、みんなでポーズを取りながら急いで食べることに。1枚目はまさに空腹のあまり芝生の上でアイスを頬張るリアルな姿です。通路のサイバーパンク風の照明管は寒色系の写真にとてもよく合いますが、天井の照明管が密集しすぎて光が硬く、顔に落ちる影の処理にかなり苦労しました。通行人を避けるため撮影は途切れ途切れになりましたが、最終的になんとか納得のいく構図を見つけることができました。
この衣装の魅力と合わせた黒ストッキングの質感を存分に見せるため、通路のタイル床に横たわるようなサイドリクライニングのポーズを取りました。この体勢は片腕で体を支えつつ腰でバランスを取る必要があり、体幹の筋力が激しく試され、数分で体が悲鳴を上げるほどでした。カメラマンさんも床にしゃがみ込んでローアングル(あおり)を探り、タイルの反射光による写り込みを抑えるのに必死でした。強烈なネオン光、とりわけシアンブルーの寒色光の下では肌色が青白くなりやすく、黒ストッキングの階調も潰れやすいため、ホワイトバランスを細かく調整しつつ床の白いラインをレフ板代わりに活用しました。理想的な脚のラインを捉えるため角度の微調整を重ね、膝から足首にかけてのラインがスラリと美しく映るよう追求しました。床に寝そべるポーズは膝への負担が大きく、薄いストッキング越しにタイルの冷たさがダイレクトに伝わり、カメラマンさんからは「まるでレトロなポスター撮影みたいだね」とツッコミを入れられました。
メイクとスタイリング面では、強い照明に長時間さらされたことで青緑のウィッグが光を反射しすぎて毛先も崩れてしまい、透明感を保つために2回もメイク直しを行いました。ウィッグのリボンやツインテールは移動中に絡まりやすく、セットを直すのにも一苦労。担当者との連絡に疲弊し、差し入れのマックフルーリーが撮影小道具と化すなどドタバタ劇の連続でしたが、そんな波乱万丈な体験こそが当日のリアルな空気感を余すところなく物語っています。隣でアイスを美味しそうに食べて笑う友人の姿やカメラに収められた撮って出しのデータも含め、サイバーパンクをテーマにした貴重な撮影メイキング記録となりました。最後には照明管の隙間からノーファインダーでシャッターを切るコツまで掴んだほどです。今回の店舗紹介・ロケ撮影での経験は撮影プランの柔軟な修正にとても役立ち、臨機応変に楽しむことで思いがけない素敵なカットが生まれることを実感しました。また、限られた光量の中でスナップ的に動きを捉える技術も磨かれました。スタジオでの本格撮影から通路でのアドリブ撮影への変更というギャップに戸惑いはあったものの、その分写真には生き生きとしたリアルな瞬間がたくさん詰まった初音ミク コスプレ作品となりました。