合わせの合間に撮影したこのソロカットですが、当時は頭の中で例の「イヤハッ(ウサギの鳴き声)」のミームが無限ループしていたため、表情管理がどこか物思いにふけるような雰囲気になりました。その日は元々チーム撮影をしていて、みんなでアングルを探している最中に、カメラマンさんが突然「あの木製スツールに乗ってみて」と言い出しました。裾を軽く持ち上げて振り返った瞬間にシャッターが切られ、この奇跡的な一瞬が切り取られました。
飛鳥馬トキのスタイリングにおいて、核となるのは王道の黒白メイド服の組み合わせです。カッティングは肩のラインとウエストラインの出し方が非常に厳格で、上半身に厚みが出すぎたりウエストの絞りが甘いと、全体が膨張して見えてしまいます。襟元の青いリボンはダークトーン衣装の中でのビジュアルアクセントで、撮影時にはトップライトがリボンと胸元の白いフリルにジャストで当たり、うっすらとしたハイライトが質感を引き立ててくれました。頭のヘアアクセ構造は複雑で、白のリボン構造に黒のヘイロー(リング)が加わるため、カメラ越しにライトブロンドのウィッグと同化しないよう、事前に前髪とアクセの距離感を入念に調整しました。
セットのセッティングもユニークで、背景にはブルーグリーンとブラウンイエローが交互に並ぶレトロなストライプ壁紙を採用。壁の鹿の首の肖像画、傍らに置かれたウサギのぬいぐるみ、右側のテーブルにある精巧なケーキの小道具が、童話のようなレトロ感を演出しています。このヨーロピアンなアンティークショップ風のロケーションはメイド服の雰囲気にぴったりで、スタジオ撮影でありながら物語性を感じさせてくれます。撮影中、隣のウサギのぬいぐるみも「イヤハッ」のポーズを真似しているんじゃないかとカメラマンさんと冗談を言い合っていました。
二次元コスプレにおいて、ポージングの機微が作品全体の空気感を決定づけます。スツールの上に立ち、左手を自然に下ろし、右手でボリュームのある黒いスカートの裾を持ち上げて、内側の白い裏地とフリルをチラ見せさせました。白手袋とハイヒールを着用し、この裾持ちポーズを合わせることで、スタイル全体のプロポーションがより一層スマートに引き伸ばされます。同時に、視線を直接カメラに向けず画面外の上方に逃がすことで、軽やかさとアンニュイな浮遊感を保ち、作り込みすぎない表情を表現しました。トップライトと低彩度のレトロトーンが、陰影の美しいスカートのシワと柔らかな光に包まれた顔立ちに鮮やかな明暗の対比を生み出し、映画のような雰囲気を生み出しています。
本来「雰囲気のある写真」とは、レタッチで強引にハイライトを持ち上げるだけでは作れません。この写真ではスカート裾のレイヤーや背後のウサギのぬいぐるみのシルエットなど、豊富なシャドウ(陰影)ディテールが残されており、明るく補正しすぎて立体感が失われるのを防いでいます。立ち絵風のソロショット撮影では、モデル、ライティング、衣装の3要素が完璧に噛み合う必要があります。スツールの上でバランスを保つのは普通に立っているよりはるかに体力を消耗し、スカートの裾を持ち上げつつ上半身を綺麗に伸ばし続ける体幹の強さが求められ、数カット撮った後は腰が少し痛むほどでした。
日頃写真を投稿する際はどれを選ぶか迷うことが多いですが、このソロショットはひと目で心から満足できた一枚でした。静かな佇まいの中にキャラクター本来の特質が見事に収められているからだと思います。無理な表情を作らず自然体で臨み、心の中でネタやギャグを思い浮かべながらも表面上は冷静を装うギャップ萌えの空気感が、トキ(飛鳥馬トキ)の魂に完璧に合致しています。合わせの集合写真は既にたくさん共有しましたが、手元に溜まったストック写真を今見返しても、撮影時に顔を照らした光の温もりや、チームみんなでセリフを真似してはしゃいだ楽しい記憶が鮮明に蘇ります。コスプレとはキャラクターと自分自身の共鳴を探すプロセスであり、今回の光影表現とスナップキャプチャでは、その素晴らしいバランスを達成できたと感じています。