今回の绯雪の撮影で一番頭を悩ませたのは、この衣装のスナップボタンのデザインでした。写真を見ていただくと分かる通り、ポーズの動きが少し大きくなるだけで胸元のボタンがすぐにパチッと外れてしまい、女性カメラマンがほぼ2枚撮るごとに手を止めて留め直してくれました。終始このボタンたちとの知恵比べでした。でも、そんな「言うことを聞かない」衣装だったからこそ、この程よく力の抜けた、少しアンニュイでニュアンスのある空気感を収めることができたのだと思います。
今回、ウィッグは細かく丁寧にレイヤーを入れて逆毛を立てる加工を施したため、フラッシュを浴びると髪の毛が銀色に繊細にきらめきます。メイクはあえてアイシャドウの彩度を抑え、紫がかったチークを使うことで、衣装の星空グラデーションカラーと連動させました。小道具の太刀はハンドメイドで研磨されたもので、柄の巻き紐を調整するだけで2時間も費やしましたが、手にした時の重心のバランスがとても心地良いです。
実はコスプレを长年続けてきて、再現というのは単に外見を似せるだけでなく、その衣装を身に纏った時の身体の感覚や記憶が重要なのだとますます実感しています。例えば、このしゃがんで振り返る動作では、スカートの裾の落ち感やベルトの締め具合が絶妙でなければならず、さもないと写った時の体勢が硬くなってしまいます。今回は室内スタジオでの撮影を選び、青紫のサイドライトを当てることで、あの冷徹な氷晶の雰囲気を演出しました。レタッチでは色調をほとんどいじっておらず、すべて事前のライティングのおかげです。撮影プロセスは少しバタバタしてしまいましたが、完成した写真に写る細かなシワや髪の毛の美しいカーブを見たら、すべての苦労が報われたと感じました。