今回の作品のテーマは豊川祥子のステージ衣装です。赤と黒を基調としたゴシック風スタイルに青白い髪が重なり、冷艶で圧倒的な威圧感を放ちます。現実離れした孤独感を表現するため、赤い薔薇や電子キーボード、深紅のベルベット背景をどう活かすか、撮影前に照明の先生とじっくり議論を重ねました。衣装の質感は素晴らしく、特に光沢のある赤い生地と黒いコルセットの組み合わせが秀逸で、美しいシルエットを保つために立ち姿や座り姿勢には細心の注意を払いました。脚のラインを引き立てるため、足元には黒ストッキングとブーツを合わせました。黒ストッキングの撮影は光の反射に気を配り、肌やストッキングが白飛びしないよう露出測定とポージングの微調整を何度も繰り返す技術が求められます。
現場に用意された電子キーボードは素晴らしいアクセントになりました。私自身少し鍵盤が弾けるため、実際に鍵盤に指を置いて演奏しながら撮影に臨みました。完璧な演奏ではなくとも、張り詰めた冷徹な空気感の中で格別の没入感を得ることができました。照明指導を受けながら、SONY α7C IIと28-200mmの高倍率ズームレンズを使用。暗所でも安定した描写力で、クリアかつ映画のような重厚な質感を捉えてくれました。鍵盤の傍らで振り返るポーズや前方を指さす仕草など定番のポーズを試みましたが、赤いメインライトと逆光に合わせて長時間ポーズを静止し続けるのは体力の限界への挑戦でした。
撮影中最も気に入っているのは、鳥籠と薔薇に寄り添ったカットです。脚を丸め、赤黒の背景の中で黒ストッキングと白いスカートの裾を対比させた構図は、この衣装の魅力を最も引き出すアングルとなりました。また、ハイバックチェアに腰掛けたカットでは、脚を組んで個性的なデザインのグラスを手にすることで、冷然と見下ろすような高貴な雰囲気を完璧に表現しました。重厚な衣装と強く締め付けたコルセットのせいで数分間静止し続けるのは過酷で、腰や脚の力で姿勢を維持したため撮影後は全身が筋肉痛になりました。
写真では優雅に見えますが、実際の撮影はハードな体力勝負でした。今回の撮影を通じて、環境の赤い反射光を利用して肌の透明感を高める方法や、ハイコントラスト下で黒ストッキングが悪目立ちしない光の捉え方を学ぶことができました。非常に技術的な学びが多く、自身のキャラクター表現の幅を広げてくれた納得の作品です。暗めのライティングだからこそ被写体の佇まいが試され、黒ストッキングの質感の見せ方やキーボードへの手の添え方など、試行錯誤の末に生み出された貴重な二次元撮影となりました。