今回の屋外ロケーション撮影は、港の埠頭、廃工場、そして伝統的な中国庭園という趣の異なる3つの舞台を巡る大規模なものとなりました。理想的な自然光を逃さず捉えるため、事前に日没時刻と太陽の角度を入念に計算。中国東北部の春風は非常に厳しく、遮るもののない港では強い陽光が降り注ぐ一方で肌を刺すような寒さでしたが、写真の美しさを追求するため縮こまることなく伸びやかな所作を貫きました。
衣装には白地に赤の縁取りが施されたダブルブレストの軍服風制服をセレクト。金色のボタン、襟元や袖口の赤いパイピング、そして胸元の五芒星バッジなど、アップの撮影にも耐えうる精緻なディテールが凝縮されています。ウィッグのセットには最も時間を費やし、ピンクから赤褐色へのグラデーションを意識しながら繊細にカットとスタイリングを実施。ツインテールの自然な揺れ感やお団子ヘアのふんわりとしたボリューム、頭頂部のウサギ耳や炎の髪飾りを強固に固定するなど、細部のすべてがキャラクターの再現度を左右しました。白ストッキングやオーバーニーソックスの着こなしも入念で、脚のラインを美しく見せつつ激しい動きでもズレ落ちないよう細心の注意を払いました。
第1の港のシーンでは、手すりや階段を活かしてポージングに立体的な奥行きを演出。手すりに身を預ける際は重心の位置を計算して脚のラインをすらりと伸ばし、夕暮れのサイド逆光を浴びることで横顔と髪の輪郭を美しく浮き上がらせました。第2の伝統衣装では青花磁器の文様とふわふわのファーショールを纏い、庭園の石台に腰掛けて長い棒の小道具を構えましたが、体幹の安定を保つのに確かな筋力が試されました。古風な建築美に寄り添うべく動作の振れ幅を小さく抑え、視線や繊細な表情作りに全神経を集中させました。
第3の廃工場では光と影の明暗対比が強烈で、赤レンガと錆びついた重機が無骨なインダストリアル感を醸し出していました。両手を腰に当てて立つポーズでは背筋を凛と伸ばし、シャープな気迫を前面に押し出しました。最も苦労したのは木の梁の上にしゃがみ込んで提灯を構えたカットで、安全対策を講じつつも狭い足場でバランスを保ち、蒸籠の小道具を持ちながら表情が強張らないよう何度もテイクを重ねました。
東北人ならではの粘り強さが背中を押してくれたのかもしれません。一度やると決めた以上、すべてのシーンを妥協なく撮り切りたいという想いで現場に立ちました。ヘアメイクから小道具のチェック、ロケ地の進行管理に至るまで、制作チーム全員が一丸となったプロジェクトのような達成感がありました。レタッチでは陽光の暖かな色合いと周囲の冷涼なシャドウのコントラストを忠実に残し、軍港ならではの厳格さと春の温もりを美しく調和させました。お届けするすべての写真の向こうには、無数のシャッターとアングル調整、そして厳しい寒さに立ち向かった日々の軌跡が息づいています。