今回のホタルACGエキスポは過密スケジュールでしたが、どうしても加藤恵のこの衣装を会場でお披露目したくて参加しました。蒸し暑い天候を考慮し、メイクはあえて引き算を意識。素肌感を活かした崩れにくい薄づきファンデーションに、広めに入れたピンクチークとツヤ感のあるリップグロスを重ね、彼女ならではの飾らない温もりのある血色感を再現しました。アイメイクは自然に瞳を大きく見せるつけまつげを使い、シャドウを控えめにすることで、隣の席にいそうな清楚で透明感のある雰囲気を大切にしました。
ウィッグは事前にカットとスタイリングを済ませたダークブラウンのボブヘアで、ぱっつん前髪の長さは眉毛がちょうど隠れる位置に調整。湿度でカールが落ちないよう、控室でキープスプレーを何度も重ねて整えました。ヘアアクセサリーにはピンクの花があしらわれた華奢な白のカチューシャを選び、サイドに揺れるパールのタッセルが歩くたびに優美なニュアンスを添えてくれます。首元にはシンプルなパールネックレスを合わせ、鎖骨周りを上品に彩りました。白のキャミソールワンピースは上品な光沢を放つサテン調生地で、ウエストには鮮やかなピンクの幅広サテンリボンを結び、スカートの裾から覗くピンクのチュールが愛らしいレイヤードを描きます。スタイルの完成度を高めるため、肘上まで覆う白のサテングローブを着用。通気性は控えめでしたが、写真映えの美しさを思えば十分耐えがいがありました。
会場内の人出は予想を遥かに超えており、数歩歩くたびに熱心なカメラマンさんたちからお声がけをいただきました。最初は定番の指ハートなどを作っていましたが、カメラに慣れてくると、片手で髪を整えたり、頬に手を添えたり、両手を優しく重ね合わせたりと自然な所作を意識しました。上体の角度を少し変えてデコルテのラインを美しく見せつつ、首を傾げて微笑むことで、加藤恵特有のつかみどころのない距離感と柔らかな愛らしさを切り取ることができました。風がふわりとスカートの裾を揺らした瞬間などは、躍動感のある決定的なカットを残すことができました。
撮影時は過度な人工照明を避け、自然光を活かした撮影をお願いしました。そのおかげで純白とピンクの清潔感あるコントラストがより一層引き立ちました。様々な原色がひしめくイベント会場の中で、この白いドレスの佇まいは際立ってクリアに映えていました。休憩の合間には他のサークルブースを巡り、魅力的な同人グッズや素敵なコスプレイヤーさんたちの姿をたくさん目にすることができました。立ちっぱなしで足はパンパンになり、手袋の中も汗ばんでいましたが、すれ違いざまにキャラクター名を呼んでもらえるたび、すぐに笑顔で役へと戻ることができ、温かな充実感を噛み締めました。
今回の加藤恵の装いは重厚な甲冑や巨大な造形物がない分、細部の端正さが作品の質を決定づけます。スカートのシワやリボンの左右対称さ、ウィッグの毛流れの立体感に至るまで、レンズの前ではすべてが如実に現れます。汗をかいた前髪の手早い直し方やロンググローブのズレ防止など、現場での実戦経験としても大きな収穫がありました。イベントが終わり、路肩でタクシーを待ちながら機材を片付けている頃にはすっかり日も暮れていましたが、カメラのプレビューに映る写真たちを目にした瞬間、一日の疲れが一気に吹き飛びました。シンプルだからこそ細部へのこだわりが試される衣装ですが、また機会があればさらに洗練されたアレンジを取り入れて挑戦してみたいです。