今回の加藤恵の撮影では、ロケーションに迷わず深圳の「A PARKアートパーク」を選定しました。施設内の連絡通路や階段は日本の学園モノを彷彿とさせる清々しい空気感を漂わせており、洗練されたシンプルな直線美が今回の本編撮影にうってつけでした。
当日の広東の天候は予想を上回る快晴で、極めて透明度の高い陽光に恵まれました。眩い陽の光を浴びたA PARKの階段や通路には、明暗のコントラストが美しい幾何学的な光と影のリズムが形成されました。あえて午後の光線が最も強く、かつ抜けの良い時間帯を狙って撮影を敢行し、画面内にドラマチックな光影の対比を創出。身に纏ったのは加藤恵を象徴する私服スタイルで、赤いニットカーディガンに白のブラウスを合わせ、首元の華奢な黒いリボンタイと胸元の清楚なフリルが上品なアクセントとして輝きます。ボトムスには白ストッキング(オーバーニーソックス)に黒の厚底メリージェーンシューズをコーディネートし、履き口にあしらわれた黒リボンのレース飾りが首元のタイと美しく共鳴しています。
撮影機材には、SONY α7R VI(A7R6)にFE 50-150mm F2 GMレンズをセレクト。α7R6の卓越したダイナミックレンジは屋外の過酷な明暗差環境下でも遺憾なく発揮され、背景のハイライト飛びやシャドウの潰れも現像で難なく救出でき、極めてクリアでノイズレスな画質を担保してくれました。50-150mm GMレンズは、50mm域において人物とロケーションの親和性を自然に描き出す一方、150mm域の絞り開放では極上の空間圧縮効果ととろけるような玉ボケを生み出し、背景の雑多な建造物ディテールを心地よく整理して、視覚の焦点を被写体の表情と佇まいへと集約してくれました。
「冴えない彼女(メインヒロイン)」ならではの自然体な日常感を醸成するため、所作の設計においても過度な作為を排し、ナチュラルな動きを追求しました。階段に立ち日差しを手でそっと遮る仕草や、腰掛けて青い単行本を頭の上にお茶目に載せるポーズ、そして両手で本を抱きかかえてレンズを真っ直ぐ見つめるカットなどを検証。小道具の本は手元の自然な収まりを生み出す優れた触媒となり、画面に文学的な落ち着きを添えてくれました。階段に座り両脚をしなやかに重ねる姿勢は、白ストッキングとメリージェーンの組み合わせを最も美しく引き立て、段差のパースペクティブを活かして脚のラインをすらりと長く魅せてくれます。
シャッターを切るたび、柔らかな陽光が白ストッキングと赤いカーディガンを優しく透過し、布地本来の上質なテクスチャが鮮明に浮かび上がりました。背景に広がるスチールフェンスや建築物の無機質なラインは、衣装が持つフェミニンな甘さを絶妙に引き締め、画面が過度に甘ったるくなるのを防いでくれます。ローアングルからのあおり構図、視線と同じアイレベル、そして階段の高低差を利用した見下ろし(俯瞰)など、多彩なアングルを絶えず切り替えながら、彼女が魅せる多面的な日常の断片を逃さず定格しました。
A PARKでのロケは終始円滑に進み、ロケーション、光線、そして衣装が奇跡的な調和を遂げました。過剰な演出を削ぎ落とし、素朴な階段と自然光の移ろいだけでキャラクター本来の日常美を紡ぎ上げることができた、大満足の撮影記録となりました。