この湿り気を帯びた星が心底嫌になる、とりわけこのポートレートを撮影している間は。大気はねっとりとした水蒸気で満ちており、瞬く間に髪や肌には細かな水滴が無数に宿っていきました。しかし認めざるを得ないのは、この水滴こそが写真に唯一無二の生々しい情緒を吹き込んでくれたという事実です。今回の撮影には富士フイルム X-H2SにViltrox 27mm F1.2 Proを装着して挑みました。このシステムが夜景や暗所で見せてくれた描写力は驚くべきもので、換算約40mm相当の画角はバストアップからフルショットまで歪みを綺麗に抑え、F1.2の開放絞りが豊かな光を取り込み、星空の背景しかない暗がりでもノイズレスで澄み切った画質を担保してくれました。富士フイルムならではの色設計も絶大な効果を発揮し、撮って出しの深みあるブルーのトーンが、ヘルメット内部の暖色LEDや手元の光る星と交錯し、寒暖のコントラストが極上の雰囲気のある写真を描き出してくれました。
スタイリングは特定の二次元キャラクターを模したものではなく、強烈なギャップの妙を楽しむ意図から生まれました。セーラー服が象徴する日常の瑞々しい青春と、宇宙服ヘルメットが暗示する果てしない未知の深宇宙。この相反する二つの要素を融合させることで、湿潤な辺境の星に取り残されながらも、なお星空へ想いを馳せる少女の物語を具現化しました。無骨な黒いホースと重厚なヘルメットはどこか息苦しい圧迫感を放ちますが、揺れるスカートが軽やかな抜け感を演出。物語性を一段と深めるため、ヘルメットのバイザーに水滴と結露をまとわせただけでなく、腕や脚にもあえてミストを吹きかけ、ライティングを受けた肌にみずみずしいハイライトを宿らせました。手にした光る星は特注の照明プロップであり、画面内における唯一の高輝度光源として、感情のすべてを受け止める核心となりました。
実際の撮影は息が詰まるほど過酷でした。ヘルメットはずっしりと重く、立ち込める湿気で呼吸も覚束なくなり、あたかも異星の地表で過酷な生存を強いられているかのような錯覚に陥りました。腰掛けたり、佇んだり、星を夜空へ掲げたり、胸元にそっと抱きしめたりと多彩なポージングを展開。少女ポートレートと銘打ちながらも、その実態は濃密な感情の吐露であり、光と影の実験そのものでした。レタッチにおいても過度な合成は一切行わず、星空の背景はスタジオ内の緻密なライティングと背景紙、そしてブルーの環境光を重ね合わせて現場で構築。完成したビジュアルは、SF特有の硬質で冷涼な佇まいと、少女ならではのドリーミーな儚さを美しく同居させています。ヘルメットを脱ぐたびに髪はぐっしょりと濡れ、まるで激しい豪雨の中を歩き抜いてきたかのようでした。本当にうんざりするほど湿った星だけれど、ファインダー越しに見つめるその姿は、息を呑むほどに美しい。この湿度の質感を宿したJK制服と宇宙ヘルメットの異色コーデは、この閉ざされた空間に息づく特別な詩情を克明に刻みつけてくれました。