今回の『Zガンダム』カミーユのコスプレ写真は、メイク決めからレタッチのカラーグレーディングに至るまで、長い時間をかけて試行錯誤を重ねました。「私は貴方が殺した敵、私の友」——この台詞が撮影の準備段階からずっと私の頭の中で巡っていました。過酷な戦場の中で徐々に精神を摩耗させながらも必死に理性を保とうとするカミーユの危うい精神状態を表現するため、衣装と造形には入念なリサーチと準備を注ぎました。
今回身にまとったのは王道の青緑色の制服で、白い折り襟と赤いエポレット(肩章)が鮮烈なコントラストを描き出します。生地にはハリのあるしっかりとした素材を厳選し、レンズの前でキャラクターの持つ凛とした存在感をしっかりと支えられるように仕立てました。ウィッグはかすかに乱れを含んだレイヤー感のある毛先へとカットし、青緑色のハイライトを仕込むことで、スタジオ照明の下で独特の光沢を放つようセット。メイクでは何よりも鋭い眼差しを際立たせるため、目元の彫りを深めてカラコンと調和させ、視線に研ぎ澄まされた貫通力を宿しました。左胸にあしらわれた銃を携える兵士の黒いシルエットマークは、自ら手作業で切り抜いて緻密に位置決めをして貼り付けたもので、細部の再現度をとことん追求しました。
撮影中は終始、両手を背後に回した直立姿勢を貫き、全身に張り詰めた緊張感を走らせました。戦場に身を置くカミーユの心象風景こそ、まさにこうした強固な自己防衛の張り詰めた佇まいにあると感じたからです。最初の raw データをチェックした際、素直なナチュラルカラーは清潔感がある一方で、キャラクターの胸を引き裂くような精神の亀裂を伝えるにはどこか物足りなさを感じました。そこでレタッチ担当者と相談し、鮮烈な色収差(カラーアベレーション)を効かせたスタイルに挑戦することに決めました。
2枚目の写真は特殊なグレーディングフィルターを施したカットです。画面の左側には彩度の高いオレンジイエローを重ね、右側には本来の青緑の冷涼なトーンを維持することで、暖色と寒色が被写体の上で直接ぶつかり合うコントラストを創出。背景の紫ピンクの星空と垂直走査線は現場の美術とデジタルエフェクトを融合させて作り上げ、周囲に漂う星のモチーフが画面全体のレトロSFな世界観を一層深めてくれました。こうした色相分離を用いた特撮風カラーグレーディングの手法は元画像の光影の質がシビアに問われますが、現場でのライティングの土台が盤石だったおかげで、サイケデリックで息の詰まるような重厚な視覚表現を結実させることができました。
メカコスプレというジャンルは非常に奥深く、過度な小道具や派手なアクションに頼らずとも、衣装の立体的なカッティング、被写体の気迫、そしてレンズ言語の調和によって多くを物語ることができます。今回の作品集には元画像の風合いから特殊な加工に至るまで様々な試みが詰まっています。画面の中に宿る複雑な感情の相克を感じ取っていただけたら嬉しいです。