当初の予定ではチケットを購入してアジサイ畑で撮影するつもりで、どんな仕上がりになるか胸を膨らませていました。ところがいざ現地に着いてみると、色鮮やかなアジサイが一面に咲き誇っており、この『原神』リネットのスズランの円舞曲の衣装を着てみると、どう見ても違和感がありました。花畑を2周ほど歩いてみましたが、背景の派手な花の色にスカートの色味がすっかり呑まれてしまい、色とりどりの花が被写体の存在感を散漫にしてしまっていると感じました。そこで急遽、アジサイ畑の隣にあった小さな森の中にロケーションを変更することに。入場料は無駄になってしまいましたが、仕上がった写真を今見返してみると、むしろこの緑豊かな背景こそが最も相応しかったと感じます。
ロケーション撮影ならではの難しさについても触れておきたいと思います。やはり屋外撮影はイベント会場での撮影よりも遥かに難易度が高いです。屋内イベントなら光をある程度コントロールできますが、屋外の光と影は完全に天候任せ。木漏れ日が葉の間から差し込むと無数のまだらな影ができるため、光を探し、立ち位置を決めるだけで何度も行ったり来たりして苦労しました。さらに動きのスナップ撮影も大変で、スカートの裾や長いリボンが風の影響を大きく受けるため、ほぼ一瞬のシャッターチャンスに頼るしかなく、カメラマンさんも本当に大変でした。森の中は植物が多いため蚊や虫がどうしても多く、こうしたミニスカートで脚を出していると格好の標的になってしまうので、時間を測りながら虫除けスプレーをこまめに塗り直す必要もありました。
ボリュームのあるスカートでの撮影は、立ち姿を何度も調整しなければなりませんでした。森の地面は凸凹で、木の根や落ち葉がたくさん積もっており、少し油断すると足をくじいてしまいそうになるからです。撮影を振り返ると、カメラマンさんが様々なアングルからサイド逆光を活かし、ドレスの質感や獣耳の透け感を際立たせる方法、そして青いリボンとの合わせ方を丁寧に教えてくれました。リボンを振って美しい弧を描くのは一見簡単そうに見えますが、実際には完璧な放物線を求めて何度も繰り返し挑戦し、腕をひたすら振り続けました。腕の筋力がそこそこなければ、とうに持ち上げられなくなっていたはずです。一度振るたびに身体全体の重心が揺さぶられるため、軽やかで優美な姿勢を保ち続けるのは想像以上に体力を消耗しました。
工程はかなりハードでしたが、完成した【リネット コスプレ】の写真を見ると、すべての苦労が報われたと感じます。森の逆光に照らされて透き通るような青いプリーツスカートの質感や、背後の獣の尻尾とロングヘアの調和は、屋内のスタジオ撮影では到底出せない魅力です。特に木々の梢を抜けて差し込む柔らかな光の輪(ハレーション)は、二次元ならではのスズランの円舞曲の世界観に驚くほどマッチしていました。
計画通りにいかないことも多いですが、思わぬハプニングの中にこそサプライズが隠されているものです。今回の経験を通じて、適切なロケーションを選ぶことで当初の予想を遥かに超える素晴らしい写真が生まれることを実感し、実りある撮影体験となりました。