この写真を見返していると、被写体モデルとして彼が完全な素人から少しずつコツを掴んでいくまでの、この1年半の歩みが鮮明に蘇ってきます。
始まりは2023年6月のことでした。プレッシャーの中で気分転換をしたいと、彼が初めてストロボを2灯抱えてアニメイベントに参加したのがきっかけです。正直に言って、当時の撮影結果はお世辞にも良いとは言えない散々なものでした。ワイヤレスのストロボトリガーの仕組みすら理解しておらず、機材が壊れたのかと勘違いして、発光するのを待ちながら連写を押し続け、後になってチャージが遅いことや不発が原因だと知る始末でした。光の当たり方も非常に硬く、顔に濃い影が落ちてしまい、モデル陣の素のビジュアルでなんとか持たせているような状態でした。
7月になると、彼はネットのチュートリアルを真似してカメラ内の色温度を直接変更したものの、ストロボにカラーフィルターを貼って肌色を補正しなかったため、私をまるでスマーフのように青ざめた姿で撮ってしまいました。そんな手痛い失敗を経験しながらも、彼は試行錯誤を重ねて着実にノウハウを蓄積していきました。9月末に大学院の推薦選考を終えると、今度は3灯ライティングのセットアップに挑戦し始め、そこで次第に自分が本当に表現したいスタイル、すなわち淡いベールを纏ったようなハイキーの露出感に辿り着きました。こうした光の質感が画面をより幻想的に魅せてくれると彼は感じており、実際その時期に仕上がった写真は以前とはまるで違う空気感を放ち、彼自身も自信を深めていきました。
2024年2月、青島で開催された小規模なイベントで、彼は初めて床の反射を活かした撮影に成功しました。ファインダー越しにその光景を目にした時の彼の興奮ぶりは凄まじく、帰宅してレタッチを終えた後もしばらく嬉しそうにしていました。5月には自らセットや小道具を用意する試みを始め、横構図で引きの大パノラマを撮影するようになり、端正で洗練された構図がSNS上でも好評を博しました。そして8月以降、彼のハイキースタイルは確固たるものとなり、ライティングにも独自のアプローチが確立されました。ネット上の型にはまったノウハウを闇雲に真似るのではなく、イベント会場のリアルな環境に合わせてライトの位置やアングルを微調整し、現場の環境光やレフ板をいかに活かすかを自ら思考するようになったのです。
実際、多くの人は美しく仕上がった完成写真だけを目にしますが、現場で汗だくになって走り回り、ライトスタンドの調節に悪戦苦闘していた彼の泥臭い姿を知りません。彼はいつも自分のことを「ポンコツで下手くそなのにやりたがり」と自虐していますが、何があっても挑戦を諦めないその姿勢があったからこそ、写真は撮るたびに素晴らしいものへと進化していきました。ストロボの光らせ方すら分からなかった初心者が、今ではこれほど魅力的なイベント写真を撮れるようになったこと自体、本当に胸が熱くなる達成感です。この1年半は、彼の技術的な成長の記録であると同時に、アニメイベントという空間で私たちが共に過ごしたかけがえのない青春の思い出でもあります。