1枚目の写真は『パーフェクトブルー』へのオマージュとして撮影したもので、レトロなフィルム粒子感のある色調と鏡の前の演出によって、物憂げで幻惑的な世界観をあえて作り出しました。事前に予告を投稿した際も、多くの方からこのカットの撮影コンセプトについて質問をいただきました。こうしたオマージュ作品に挑む際、最大の難関は衣装そのものよりも、キャラクターのその瞬間の神妙な表情をいかに捉えるかにあります。鏡の反射を利用して画面に奥行きを持たせるため、スローな動作を繰り返しながらテイクを重ね、最終的にこのベストショットを選びました。今回のIJOYへの参加についてはすでにフリーパス審査を通過していますが、特定の公式撮影に縛られるというよりは、イベントならではの臨場感あふれる偶発的な空気感を心から楽しみにしています。特に1日目はスチームパンク赤ずきんの衣装を用意しており、会場のインダストリアルな建築構造を活かして物語性のあるイベント写真を残したいと考えています。
この写真セットを振り返ると、ここ最近挑戦してきた多彩なスタイルが凝縮されています。2枚目の中華ファンタジー要素を取り入れたスタイリングでは、銀白のショートヘアにケモ耳、手元の酒瓶の小道具を合わせ、屋外の花畑の光の下でメイクの繊細さが試されたため、少し深めのリップで全体のトーンを引き締めました。3枚目と4枚目は一転して透明感としなやかな躍動感を追求し、特に4枚目の渓流の岩の上に座ったカットでは、チュールスカートの生地と色彩が自然光の下で美しく透き通るように映え、素足で水面を踏むディテールが夏らしい涼やかなフォレスト感を演出してくれました。
5枚目は王道の白黒メイド服にライトブルーのショートヘアを合わせ、クリーンな純白のインドア空間だからこそ光と影の陰影が際立つ構図に仕上げました。手にした黒い王冠の小道具が良いアクセントとなり、軽やかな白シフォンと鮮烈なコントラストを描き出しています。アイコンやトップ画に設定するのにも心地よいお気に入りのカットです。脚のラインもすらりと長く見え、合わせたシースルーのストッキングコーデがスタイリング全体の完成度をグッと引き上げてくれました。
そして最後の6枚目は、普段の私が大好きな「お遊び」スナップです。下からのあおりアングル、誇張したユニークな表情、無造作に散らばる髪筋は、まさに普段テンションが振り切れた時のありのままの姿です。普段の撮影では気を張り詰めている分、こうした「第四の壁」を壊すようなおふざけショットこそが最もリアルで、自分らしさを解放した一面でもあります。アイメイクにはさりげなくブルーのラメを散りばめ、照明の下で遊び心を感じられるように工夫しました。
様々なスタイルを撮り分けるモチベーションの保ち方をよく聞かれますが、大切なのは機材のグレードよりも、自分の感情をそのロケーションの空気に溶け込ませられるかどうかに尽きると感じています。イベントに向かう前には、当日の光がどこから差し込むのか、逆光とサイド光のどちらが映えるかをイメージしておきます。ウィッグのセットも衣装の生地感に合わせてウェットな質感にするかふんわり感を出すかを判断します。1枚目のようなレトロなダークトーンはレタッチの色温度コントロールが決め手になりますし、屋外ロケでは太陽光の自然な移ろいを捉えることが何より重要です。
まもなく開催されるIJOYに向けて、人混みを縫いながらいつでもシャッターを切れるあの熱気あふれる空間を心待ちにしています。カメラマンやレイヤーにとって、イベント会場はあらゆる角に面白い発見が転がっている巨大なワンダーランドです。準備は万全、あとは出発を待つのみです。この6枚の写真集は、名作への敬意を込めたこだわりから日常の気取らない遊び心まで、私の多面的な姿を記録したものです。この楽しさを皆様と分かち合えれば幸いです。