『Fate/Grand Order』のFGO 10周年を祝うパレードフロートイベントに参加できた余韻は、想像を遥かに超えて強烈なものでした。フロートの上に立ち、巡行ルートを進む中で降り注ぐ直射日光に目を細めつつも、沿道から響き渡るマスターたちの歓声を聞いた瞬間、これまでの過酷な準備期間のすべてが報われたと実感しました。
今回のパレードフロート巡行のため、複数の衣装ローテーションを用意。中でも特に印象深いのが、ボリューム満点の白いファー襟をあしらった黒のロングコートです。インナーには白シャツと赤ネクタイを合わせ、胸元にはゴールドのチェーンと紋章ブローチを配置。ボトムスには全体のシルエットを美しく引き締める赤いレギンスをコーディネートし、手元にも赤いグローブを纏いました。この造型の重厚感に寄り添うため、ウィッグの編み込みとセットには丸一週間鏡の前で試行錯誤を重ね、メイクも強い自然光に負けないよう目元の陰影を深く彫り込み、立体的な顔立ちを追求しました。
フロート上の空間は極めて限られており、常に体幹を意識してバランスを取り続ける必要がありました。銀の金属製アームアーマーを装着した衣装は、太陽光を浴びて鋭利なハイライトを放ち抜群の視覚的インパクトを誇る反面、実物はかなりの重量があり腕の可動域が大きく制限され、簡単な手振りのファンサですら力を要するほどでした。また長柄の杖を携えたスタイリングでは、杖をしっかりと保持しつつ、上部の装飾が突風で煽られないよう常に力の入れ具合をコントロール。三日月ヘッドドレスを配した白い衣装は身軽な反面、強光下で激しく白飛びするため、透明なアクリルフェンスとの位置関係を考慮しながら立ち位置を微調整し続けました。
会場は終始凄まじい人出に包まれ、警備員やSTAFFエプロンを身に着けたスタッフの方々が懸命に導線を管理。フロートの周囲には本格的な機材を構えたカメラマンが集結し、ベストアングルを求めて押し合う中で無数のシャッター音が鳴り響きました。ファンの方々と視線を交わすたびに作品への凄まじい熱量がダイレクトに伝わり、その圧倒的な熱狂の渦がフロート上の私たちの胸を熱く焦がしてくれました。
早朝からのベースメイクやセッティング、ウィッグや各種金属プロップの装着に至るまで、工程は極めて複雑で体力を激しく消耗しました。フロート巡行そのものはわずか数十分の出来事でしたが、事前の入念な仕込みと現場での極限の緊張感により、終了の瞬間に心地よい脱力感が押し寄せてきました。控え室に戻ってウィッグと衣装を脱ぎ去った時、まるで別世界から現実へと引き戻されたかのような感覚を覚え、身体は疲弊しつつも精神は昂揚したままでした。スマホを開いて現場のグループチャットに寄せられる速報写真を見つめると、フロートを吹き抜けた微風、群衆の歓声、そして衣装の金具が擦れ合う微かな金属音が、今なお鮮明に蘇ってきます。この心地よい熱の冷めやらぬ感覚はしばらく続きそうですが、記念すべきFGO 10周年にこのような確かなコスプレの記録を刻むことができ、流したすべての汗が誇らしく思えます。