今回の撮影はなかなか手応えのある挑戦で、特に福建特有の連日続く曇り空に見舞われました。光のメリハリが弱く、画面全体の立体感が失われやすかったため、ライティングの設計には細心の注意を払いました。フリルとレースがふんだんにあしらわれた白黒バイカラーのゴシック・ロリータ調ドレスを引き立てるため、撮影前にレフ板を用意して顔まわりの光をしっかり補いました。衣装のディテールは非常に凝っており、肩の星型オーナメントからウエストの紫のフラワーリボン、そして幾重にも重なる黒のスカートフリルやタッセルに至るまで、どの角度から見ても豊かな構造美が楽しめます。
頭にかぶった大きな白パイピングのボンネットハットはスタイリングの主役であるだけでなく、曇天の下では天然のディフューザー(柔光フード)のような役割を果たし、人物の輪郭を柔らかく包み込んでくれました。ボトムスに合わせた黒のレースアップストッキングコーデはまさに決め手となり、交差するリボンデザインがシンプルなタイツに繊細な華やかさをプラス。黒の厚底ローファーと相まって、下半身の視覚的な重心をしっかりと安定させてくれました。手にした魔法のホウキの小道具はずっしりとした重みがあり、白いリボンが結ばれていて、振りかざす動きでも静止した佇まいでも衣装のドレスと美しく呼応してくれました。
ロケーションは郊外にあるスクラップ金属のインスタレーションアートエリアで、廃棄されたトタン板、燃料タンク、パイプ、メッシュ格子、カラフルなドラム缶などが奇妙な機械装置として組み上げられていました。この無骨なインダストリアル廃墟の空気感と、身にまとった繊細で可憐なドレスとの強烈なギャップこそが、今回の廃墟風ポートレートの最大の面白さです。撮影時はいくつか異なる構図を試しました。例えば写真1、2、7のようなローアングルからのあおり撮影では、金属構造の直線的な広がりを活かして巨大な装置の圧倒的な圧迫感を演出し、スクラップの上に立ったり寄り添ったりすることで、スカートのふんわり感と脚のラインを一瞬で際立たせました。写真3の全景や写真6の座りポーズでは、スカートのドレープやタイツの質感を完璧に捉えています。写真4と9はレトロな電話ボックス風の空間で撮影し、受話器を握る姿がまるで魔法世界の通信設備を探索しているかのような物語性を添えてくれました。写真10の雪山バックは今回一番の嬉しいサプライズで、曇った天候がかえって遠くの雪山を鮮やかに際立たせ、木製ステージに腰掛けてホウキを持つ姿が、静謐な荒野の情緒を醸し出すアウトドア撮影となりました。
さらに、今回のウィッグはボリュームたっぷりのゴールデンイエローのツインテールを採用しました。豊かな毛量のおかげで、風が吹いたり軽く首を傾げたりするたびに毛先が肩のレースをかすめ、非常に自然な躍動感を捉えることができました。巨大な金属装置の間を移動する際は、錆びた鉄板の角でスカートが引っかからないよう足元に細心の注意を払いながら、円筒状の金属パーツに腰掛けてスカートを周囲にふわりと広げるなど、伸びやかなポーズを意識しました。黒ストッキングと厚底シューズの組み合わせが脚のラインをすらりと美しく引き伸ばしてくれます。曇天最大の弱点は光がフラットで画面が暗くなりやすいことですが、巨大なソフトボックスのように光が均一に回り、顔にキツい影が落ちないという強みもあります。そこで環境光の柔らかさを逆手に取り、衣装の白や金属の反射光をアクセントとして散りばめることで、青空がない寂しさを補いました。福建の気候には悩まされがちですが、与えられた光の条件を最大限に活かす工夫を重ねることで、大満足の質感に仕上がった東方Projectコスプレの記録となりました。