このパチュリー コスプレ衣装に袖を通して最初に感じたのは、その圧倒的な重厚感でした。イベント当日はかなりの猛暑で、幾重にも重なるレース、パニエ、そしてクラシカルなケープがまるで小さな暖炉のよう。「動かない大図書館」という異名通り、本当に一歩も動きたくなくなるほどの暑さでした。撮影は屋内のガラスカーテンウォール前で行われ、カメラマンの雨宮さんが逆光とソフトフォーカスの効果を巧みに活かしてくれたおかげで、外の強い日差しを避けつつ、全体に幻想的で柔らかな空気感をもたらすことができました。
今回の撮影におけるキーアイテムは、アンティーク調の赤いトランクケースと重厚な魔導書です。トランクの上質な質感が、紫色のウィッグやモブキャップ、スカートのピンクパープルのストライプと美しく調和し、洗練された紫系コーデに仕上がりました。紫のウィッグはセットに時間がかかり、おさげとパッツン前髪のシルエットをキープするためにキープスプレーで念入りに毛流れを固定。メイクには紫のカラコンと淡いピンクリップを合わせ、物静かで少し気だるげな天才魔法使いの雰囲気を表現しました。
撮影中はスカートの立体感を保ちつつトランクを安定して持つ必要があり、細心の注意を払いました。スカートがふわりとなびき片足を少し浮かせた全身カットでは、衣装のレイヤード、靴、ソックスのディテールが綺麗に収まり、自然な躍動感を捉えるために何テイクも重ねました。衣装にはボリュームのあるクラシカルなパニエを採用し、暑さはあったものの、お人形のような美しいふんわりシルエットを完璧に再現できました。帽子のシルクフラワーやパール装飾も手縫いで仕上げられ、細部までこだわりが詰まっています。
今回の写真では「動かざること山のごとし」という静謐な佇まいを意識し、本を持つ角度も様々に試行錯誤。仕上がりは大満足のものとなりました。明るい屋内ガラス窓の前での撮影は、アニメイベントのコスプレ会場特有の混雑をうまくカバーし、レタッチでも紫を基調とした色調で統一して逆光の透明感を美しく残しました。この真夏の週末の思い出とともに、『東方Project』とロリータ・ファッションの魅力を存分に記録できた心地よい撮影体験となりました。