今回はチルノのために、夏らしさあふれる日常感たっぷりのスタイリングを組みました。重厚な氷の結晶の羽をお休みし、軽やかな白のキャミソールワンピースと風合いある麦わら帽子をセレクト。背中の菱形の羽にはあえて偏光オーロラが煌めくホログラム素材(レーザーウィング)を選定し、陽光を浴びて多彩な光を放つように仕立てました。これにより氷の妖精というアイデンティティを保ちながら、画面全体を重苦しさを排した軽やかな空気感でまとめ上げることができました。
撮影ロケーションには下町の情緒ある路地裏を選びました。年月の刻まれた土壁や古びたエアコンの室外機、周囲に力強く息づく瑞々しい緑が、チルノという幻想的な妖精の存在と不思議で心地よいコントラストを醸し出します。炎天下でキャミワンピを着るのはとても涼やかでしたが、ウィッグと麦わら帽子の組み合わせはやはり体感温度をぐっと引き上げました。
カメラマンの@熱帯魚さんとのセッションは終始楽しく進行しました。路地裏で自然なアングルを丹念に探し、直射日光を避けつつ壁面の柔らかな拡散光をレフ板代わりに活かして撮影。壁際からひょっこりと顔を覗かせるカットでは、開放絞りによるボケ味を活かして視線を瞳と表情へ自然に誘導しました。また路地の真ん中を歩きながら腕を軽く広げるカットでは、背中の羽の小道具が美しく映え、古い町並みを気ままに散策しているかのような生き生きとした躍動感を切り取ることができました。
小道具の制作にも細やかな工夫を凝らしました。背中の羽は定番のアクリル板やEVAボードを使わず、半透明のレーザーペーパーを透明な薄型アクリル板に貼り合わせ、マジックテープで衣装へ固定する仕様に。歩く角度をわずかに変えるだけで美しい反射光が生まれ、驚くほど軽量なため長時間のロケでも全く負担になりませんでした。
メイク面では、ブルーグレーのウィッグに合わせて寒色系のアイシャドウを仕込みつつ、オレンジ系のリップで血色感をプラスして、冷たい髪色に引っ張られて顔色が沈んでしまわないよう配慮。大口径レンズの描写に耐えうるよう、まつげとアイラインを端正に際立たせ、清潔感あふれる目元を追求しました。
路地を吹き抜ける気まぐれな風や通りかかる地元の方々の視線など、野外ロケには思い通りにならない要素も多いですが、それこそが実景撮影ならではの醍醐味です。レタッチでも爽やかで抜けの良いトーンを徹底し、夏の澄んだ陽射しの気配をそのまま閉じ込めました。いつもとは一味違う、身近で愛らしい氷の妖精の雰囲気を感じていただけたら幸いです。