今回の撮影のきっかけはとてもシンプルで、上海で雰囲気の異なるいくつかの実景スタジオを見つけ、手持ちのロリータドレスが持つクラシカルな魅力を立体的に引き出しつつ、自分がどこまでシュールでおもしろいカットを生み出せるかを試してみたかったことにあります。
撮影当日、私は赤茶とベージュの切り替えチェックがクラシカルな、アンジェリックプリティ(Angelic Pretty)調のサスペンダープリント柄ジャンスカを選びました。ロリータの着こなしにおいて、ドレスのシルエットと柄図(オリジナルプリント)はまさに命。スカートの裾にあしらわれたテディベア、木馬、ブリティッシュテイストのモチーフが視線を奪い、細やかなレースのあしらいや胸元のトリコロールリボンが華やかな気品を添えてくれます。この一着に合わせるため、ツインテールに同生地のリボンカチューシャを添え、パフスリーブとレース襟が愛らしい白ブラウスをインナーにセレクト。足元には白のレースショートソックスと、レースアップ仕様のアイボリー厚底シューズを合わせました。このスタイリングは全体のトーンを美しく統一するだけでなく、厚底シューズのおかげで広い館内を何時間も立ちっぱなしで撮影しても疲れにくいのが嬉しいポイントでした。
撮影中はまるでブラインドボックスを開けるように、多彩なテーマエリアを巡りました。最初は重厚な彫刻が施された木製アーチのニッチ(壁龕)からスタート。腕に小さな白い子犬を抱き、傍らにくるみ割り人形や繊細なビスクドールが並ぶ空間は、光影がとても柔らかく、まるでクラシカルなアンティーク展示室のような静けさに満ちていました。続いてレトロな気球や鳥、懐中時計が描かれた巨大なスチームパンク調のバックパネルの前へ移動し、中央に両手を重ねてお行儀よく佇むお人形のような一面を表現しました。
その後、伝統的な日本の猫の浮世絵イラスト壁へとロケーションをスイッチ。小さな木製茶箪笥の横に腰掛け、生き生きとした猫たちの絵に囲まれました。さらに古代エジプトエリアへと移動し、黒い猫神(バステト)の像の傍らに佇みましたが、館内の室温が少し高かったため、手元にはずっと白いハンディファン(小型扇風機)を握りしめていました。一番驚かされたのはナポレオン時代の軍服を纏った凛々しい猫の肖像画で、その威厳と愛らしさが融合したビジュアルインパクトに惹かれ、三脚を構えて思わず記念撮影をしました。
そして今回の写真の中で最もシュールだったのが、ロープが吊るされた木製フレームの下での撮影です。その小道具を目にした瞬間、頭の中に突拍子もないアイデアがひらめき、ロープに首を絞められているかのように顔を歪ませた渾身の変顔カットが誕生しました。撮影中もカメラマンさんは「怪しすぎて二度見しちゃう!」と大爆笑。これこそがタイトルに込めたおもしろ日常のエッセンスであり、これほど可憐で繊細なドレスを纏いながらも、心の内なる破壊衝動や表現欲が時に暴走してしまうのもご愛嬌です。
最後に純白の回廊へと足を運びました。ここは被写体の身体表現力が最も試される空間です。背景が極めてミニマルだからこそ、視線は自然とロリータドレスのテディベア柄や、足元の白いストッキング、レースアップシューズへと注がれます。身体をわずかに前傾させ、前で手を重ねて回廊の奥行き感を活かすことで、脚のラインをすらりと美しく見せました。差し込む自然光がドレスを優しく照らし、チェック柄やプリントのディテールが余すところなく際立ち、無駄な装飾のないクリアで洗練された仕上がりとなりました。
ロリータを着て外で撮影を行うのは、パニエや予備の小道具を持ち運ぶだけでなく、様々なロケ地に合わせて瞬時にテンションを切り替える必要があり、体力的にもなかなかの大仕事です。それでもカメラの液晶に映し出された美しいドレープ、生地の上質な落ち感、そして生き生きとしたおもしろ日常な笑顔の数々を目にした時、今回の日本風フォトセッションの予約は本当に充実した体験だったと実感しました。小道具を片付けて撤収する際にも、カメラマンさんと液晶を振り返りながら、首にロープをかけたあのシュールなカットを見て二人で再び吹き出してしまいました。この強烈なギャップこそが、今回の撮影で最も心に深く刻まれた最高の思い出です。