今回の撮影のきっかけはとてもシンプルで、スタジオでの本番撮影を終えた後に食事場所を探していたところ、スイーツ店の雰囲気と着ていた私服コーデが、どこか冷ややかでありながら日常の親しみやすさを秘めた豊川祥子というキャラクター感にぴったりだと感じ、スマホで記録したものです。
今回のメイクは、普段めったに試さない跳ね上げ目のスタイルを選びました。キャラクターの眼差しに近づけるため、アイラインの引き方やアイシャドウのぼかしを3〜4回やり直し、自分の目の特徴を残しつつ、あの涼やかな表情をできる限り再現しようと努めました。このタイプのメイクは私のコンフォートゾーン外だったため、撮影前の2日間や撮影後に写真が上がるのを待つ間は、ライトでメイクが飛んでしまったり理想の雰囲気にならなかったりしないか密かに不安でした。幸い、レタッチの友人が照明による色飛びを補正してくれたおかげで、完成した写真の目元と表情は、私が思い描く現実のキャラクターの雰囲気を少し形にできた気がします。
衣装コーデについてですが、今回は公式のフル衣装をそのまま再現するのではなく、カットアウトやレース素材を取り入れた黒ベースの服をメインに、ライトブルーのウェーブヘアを合わせました。このコントラストが画面内で非常に映えます。ヘッドドレスとリボンの組み合わせで上品さを足しつつ、オリジナル解釈の私服コーデで要素を引くことで、キャラクターの日常的でリラックスした表情を引き出しました。襟元のカットや袖口のレース、裾のチェック柄などは、アヴェムジカというプロジェクトが持つ洗練された少し冷たい空気感ともしっかり調和しています。
小道具に関しては、抱いているぬいぐるみはこだわって選んだ持ち物です。ぬいぐるみの配色がキャラのスタイリングと見事にマッチしており、手に持つことで画面に動きを出せるだけでなく、ポージングや視線の支点としても機能し、手の置き場に困る不自然さを防いでくれました。特に2枚目のスプーンを持ってスイーツを食べようとする瞬間は、友人と本当にアフタヌーンティーを楽しんでいるような自然なスナップショットになり、全体の動きがとてもスムーズで、ポーズのわざとらしさを和らげることができました。
雰囲気づくりにおいては、スイーツ店の温かみのある柔らかい照明と木目のテーブルが良い前衛となり、ぼかした背景の観葉植物が視線を邪魔することなく、人物を際立たせてくれています。目の前のプレートにある中華アフタヌーンティーのデザートには、ハスの実や黄色の果肉、赤豆などが入っており、鮮やかな色彩がライトブルーのウィッグと寒暖のコントラストを生み出し、画面の色彩に深みを与えています。白い磁器のポットや卓上の小物も良いアクセントになりました。
撮影アングルは、アイレベルややや見下ろす角度で上半身を中心に切り取り、表情の細やかなニュアンスを残しつつ、卓上のスイーツもバランスよく収めました。構図的に人物とグルメを同一フレームに納めることで、カフェ巡りをしているかのような臨場感を生み出しています。
今回のコスプレ撮影は、私にとってコンフォートゾーンを脱する挑戦でした。普段はギャップの激しいアイメイクやスタイリングに苦戦することは少ないですが、本気で向き合いたいキャラクターに出会うと、持てる力を全て注いでその特質に近づきたくなります。夜遅くまでメイクを直し、ウィッグのセットに3日間も試行錯誤する過程は大変でしたが、完成した写真を受け取った瞬間、メイクへの不安は奇妙な達成感へと変わりました。コスプレ日常の醍醐味は、日常から少し離れて別の設定の世界観を味わい、自分なりの解釈でキャラクターの生活の一コマを切り取ることにあります。
アレンジの私服コーデについても撮影時に熟考しました。公式設定とは異なる私服姿ではありますが、服の合わせ方やメイクのこだわりを通して、アヴェムジカの豊川祥子らしい独特のオーラを伝えられたことが、今回一番満足している点です。二次元のすべての模様を完璧に再現する必要はなく、リアルなコスプレの楽しさは、フィクションの魅力と現実感の絶妙なバランスの中にこそあるのだと感じています。