今回の撮影では、大げさな世界観を意識的に組み上げるというよりは、キャラクターのディテールや、静かでどこかミステリアスな雰囲気をシンプルに再現したいと考えていました。ウィッグは1週間前にカットを済ませておいたもので、ピンクの発色が室内の暖色光の下で意外なほど柔らかく映え、両サイドの白い羽モチーフの髪飾りも傾かないようしっかりと固定するのに時間をかけました。衣装のダークブルーとパープルの切り替え、アームストラップに施されたルーン模様のプリントなどは、実物を手にした後に自分で微調整を加え、ドレープ感が設定通りの軽やかさに近づくよう工夫しました。ロケーションには古い洋館の階段を選びましたが、ダークトーンの木製腰壁と温かみのあるイエローの壁掛けライトが素晴らしい効果を発揮してくれました。そのクラシカルで重厚な空気感が、キャラクターの持つクールなトーンと絶妙なコントラストを描き出すレトロ室内撮影となりました。
撮影時は壁掛けランプの単一光源を意識的に活かし、伸びた影がカーペットの上に投影されるようにすることで、未知の道のりを一人歩むような孤高の静けさを表現しました。小道具の巻物も自作でリメイクしたもので、表面にメタリックな質感のルーンシールを貼り付け、手にした時の重量感も絶妙に仕上がっています。個人的には足元にも強くこだわりました。このゴールドのレースアップサンダルは紐を何度も巻き付ける必要があり、着脱に毎回10分ほどかかりますが、撮影すると足首が華奢に見え、ふくらはぎのラインが非常に美しく引き立ちます。撮影全体を通じて強いストロボは使わず、現場の僅かな暖色光のみに頼り、背景の油絵や手すりを天然のバックボードとして活かしました。レタッチも色温度の微調整にとどめ、過度な肌補正は避けています。
階段での撮影アングルは非常にトリッキーで、カメラマンが床に這いつくばったり、高所からフカンで狙ったりしてくれました。平視(アイレベル)ではないアングルだからこそ、キャラクター特有の距離感をより一層引き出せたと感じています。光を見上げ、カーペットを見下ろし、一挙手一投足が影の境界線上に美しく収まるよう意識しました。ダークブルーのスカートのヒダは歩くたびに美しく広がり、ウエストのリボンも崩れないよう隠しピンでしっかり固定しました。しなやかでありながら一本筋の通った姿勢を維持し続けたため、撮影終了時には腰がかなり痛くなりましたが、完成写真の中で光が肩と鎖骨の輪郭を美しく描き出しているのを見て、苦労が報われたと実感しました。
派手な特殊効果に頼るのではなく、リアルな階段の光と影や小道具のディテールを通じてキャラクターの魅力を伝えるこの手法が大好きで、シャッターが切られる瞬間ごとに空間との対話を楽しんでいました。トレンドの構図に無理に寄せることなく、キャラクターがあるべき場所に誠実に向き合い佇ませることで、彼女の孤高な軌跡が画面の中で静かに伸びていくような『崩壊:スターレイル』キュレネ コスプレ作品に仕上がりました。