ファイノンとキュレネの物語を思い起こす時、脳裏に浮かぶのはいつも運命と抗い続けた強い絆です。今回の撮影では、パートナーと満場一致で「最初のアイデス・エリシエへ戻ろう、もう二度と運命に見つからぬように」というフレーズをコンセプトの基調に選びました。この雰囲気をリアルに表現するため、インドアスタジオでの撮影をあえてやめ、大量の機材を抱えて都市の郊外にある自然公園へと足を踏み入れました。
正直に言うと、ファイノンの甲冑は想像以上に重厚でした。幾重にも重なる白地に金のフチ飾りが施されたアーマーや、肩のトレードマークである星紋バッジなど、すべてのディテールが手作業で磨き上げられた逸品です。それに比べて、私のピンクのショートヘアと紫と白の軽やかなローブは木々の中を歩くにはずっと自由でしたが、衣装のシルエットを保つため、腰元の青い宝石が付いた金の星型チャームが木に登る際によく枝に引っかかってしまいました。この問題をクリアするためベルトの締め具合を微調整するなど、撮影中のちょっとしたハプニングもありました。
写真の木にぶら下がるポーズは、実は何度もテイクを重ねました。表情を自然かつ生き生きと見せつつ、滑り落ちないよう重心をコントロールするため、体幹を常に緊張させていました。本来はチャーミングでリラックスした表情を見せたかったのですが、足元の白いストラップサンダルが樹皮の上で非常に滑りやすく、つま先でゴツゴツした幹を必死に掴まなければなりませんでした。一方、木の下に立つファイノンの横顔構図は、キャラクターの落ち着きつつも鋭いオーラを際立たせるためのものです。腰に手を当てたポーズはクールに見えますが、実際は当日蚊に刺されまくっており、休憩のたびに虫よけスプレーをかけ合っていました。
撮影中は終始ストロボを焚いて葉漏れ日の強いトップ光を抑え、屋外ロケ撮影の光環境下でもウィッグの毛並みや質感が最も自然に見えるよう工夫しました。この日、パートナーとの息もぴったり合いました。カメラマンさんは樹木を巧みに画面の分割線として利用し、高低差のある立ち位置でストーリーにおけるキャラ同士の立ち位置や視線の交差を表現してくれました。時折吹き抜ける風が葉を揺らし、毛先や甲冑の上に木漏れ日の光影を落とす——このリアルな動感はスタジオ撮影では決して再現できない魅力です。
猛暑の中でヘアメイクもかなり崩れてしまいましたが、完成した写真を見た瞬間、すべての苦労が報われたと感じました。これこそが今年一番満足のいく撮影となりました。撮影中はキャラクターの重厚な背景設定すら考える余裕がないほど「ファイノン」と「キュレネ」になりきり、新緑に囲まれた世界で言葉を交わし合いました。ひと揃いの甲冑、ピンクのウィッグ、急に呟いた一言のセリフ。あの一瞬、私たちは確かに現実を離れ、あのアイデス・エリシエと呼ばれる場所へ帰っていたのだと思います。プロフェッショナルな表現へのこだわりと互いの呼吸が見事に噛み合った、最高にワクワクするペアコスプレ体験となりました。