今回の『アークナイツ』シーのコスプレ準備で一番試行錯誤したのは、数々の画巻と剣の小道具でした。水墨画の質感を忠実に再現するため、画巻に描かれた山水画はすべて手描きで仕上げ、筆を手に豪快かつ繊細に墨を走らせる感覚をじっくりと掴んでいきました。衣装に関しては、風をはらむ軽やかさと神秘的な雰囲気を両立させるため、幾重にも重なる半透明のシフォン生地をセレクト。見た目は非常に美しいものの、着脱やメンテナンスはかなりの大仕事で、特に移動時はリボンが絡まないようスカートの広がり方に常に気を配る必要がありました。
ウィッグは専門のスタイリストに特注し、黒から青への繊細なグラデーションに仕上げてもらいました。毛先に向けて自然な色の移り変わりを表現するだけでなく、頭の角やエルフ耳も激しい動きでズレたりアラが出たりしないよう頑丈に固定しました。尻尾の素材も二度変更を重ね、最終的に光を受けると鱗のようにほんのり輝く生地と青いファーを組み合わせることで、引きの構図でも寄りのアップでも見応えのあるディテールに仕上げています。
撮影時は「絵の中の仙人」という世界観に寄り添うため、あえて枯れ木や古風な趣のあるロケーションを厳選しました。剣を構えるカットでは長剣が思いのほか重く、軽やかに携えているように見せるため、腕の筋肉をずっと引き締めながらポーズをキープしていました。色調補正も静けさと墨絵の風合いを意識したトーンに寄せ、後加工で加えた赤い太陽や飛翔する鳥のモチーフと合わせることで、俗世を離れた孤高の美しさを表現しています。ここ数日写真を整理しながら、このスタイリングのディテールへの愛着がますます深まり、撮影の思い出を少しずつ綴ってみました。