セットの設営時、「ゼンレスゾーンゼロのセーフハウスが持つ、インダストリアル(工業風)と生活感が交織する雰囲気をそのまま現実に移植しなければ」と考えていました。ゲーム内の空間を実体化し、彼女の個人領域(テリトリー)を再構築するプロセスは、挑戦に満ちていました。1枚目の画像ではあえて上下分割の構図を採用し、上半分は実景スタジオ撮影のカット、下半分はゲーム内の原画視点を配置。仮想と現実の対比をストレートに見せることで、不思議な次元崩壊(破壁)感をもたらしました。
空間の骨格を作るため、金属メッシュの壁と黒いパイプラックを使用して空間構造を立ち上げました。レトロテレビ、昔ながらのダイヤル式電話、赤い壁掛け通信機、そして古びたPC本体などを配置し、一見散らかっているようで生活の痕跡がたっぷり残る居住領域の雰囲気を再現するにはかなりの労力を要しました。ライティングには冷暖の対比を採用し、深みのあるシアン系の主光源がゲーム内のサイバー感を演出し、デスク上の暖色デスクライトと天井のレトロなペンダントライトが冷たい金属構造に温もりを注ぎ込んでいます。床のオレンジ色の掃除ロボットやカウンターの観葉植物など、小さなプロップ(小道具)も極力再現し、彼女がここで生活しているストーリー感をより豊かに深めました。
キャラクターのロールプレイにおいては、ライトブルーの編み込みスタイルを選び、白とダークグレーの切り替えにメカニカルなストラップを備えた近未来風の戦闘服をあわせました。ポージングの際、裸足で掃除ロボットの上に足を乗せる何気ない仕草は、大雑把でありながらすべてを支配・掌握する彼女の性格的特質を忠実に再現したものです。全身鏡の前で自撮りをする際、彫刻が施された木製鏡枠が絵画の額縁のように機能し、二次元の世界から踏み出してきた彼女を現実世界の中に切り取りました。スタジオ撮影特有のシリアスな角度と比べ、こうした日常感のあるアングルこそが、セーフハウスで無防備になった彼女の不敵なリラックス感を表現してくれます。
シードというキャラクターに対する私の解釈は、冷ややかな外見の下にアンニュイさと強靭なコアを秘めた人物像です。コスプレをする際、9分割のアップ写真や背景のボカシに走りがちですが、今回は彼女を空間(環境)の中に徹底的に溶け込ませることを重視しました。実際に組み上げられたセットを目にすると、二次元を具象化させた達成感に包まれます。装備を装着し細かな小道具(プロップ)を掲げると、危険が渦巻きつつも独特の安らぎを湛えた新エリドゥ(New Eridu)へと本当に足を踏み入れたかのようです。
実景スタジオ撮影(棚拍)のクランクアップ時、このセーフハウスの中を何度も歩き回りました。積み上げられた段ボール箱やレトロな扇風機に至るまで、すべてのディテールにチームの情熱が注ぎ込まれています。コスプレをする喜びは単に衣装を纏うことにとどまらず、コスプレ撮影を通してキャラクターの世界全体を三次元へと引き寄せる点にあります。1枚目の写真における上下2枚の対比を目にすると、媒体(メディア)の垣根を越えて重なり合うあの感動こそが、ロールプレイの最も純粋な定義なのだと感じます。この空間に長時間没入し、キャラクター特有の退屈気味でありながら少しツンデレな佇まいを、完全にシーンの中へと溶け込ませました。