今回の喜多川海夢のバニーガール撮影は、事前の準備段階から並々ならぬこだわりを注ぎ込みました。この衣装の要となるのは素材の放つ質感です。艶やかな黒のエナメル(パテントレザー)と深みのあるワインレッドの切り替えは、ライティング次第でディテールの見え方が大きく左右されます。身体のラインに完璧にフィットさせるため、撮影前にコルセットのボーンや編み上げの絞り具合をミリ単位で何度も調整しました。ウィッグには空気感を含ませた淡いブロンドのロングストレートに切り揃えたぱっつん前髪を選び、メイクはピンク系のアイシャドウとぷるんとしたリップを際立たせて、海夢ならではの華やかな自信と天真爛漫な愛らしさを追求しました。
ロケ地にはサイバーパンクとレトロが溶け合うバーをセレクト。カウンターの木目、重厚なメタル調のリキュール棚、そして壁面を彩る鮮やかなネオン管が、画面に芳醇な色彩のグラデーションをもたらしてくれました。撮影における最大のハードルは複雑な環境光のコントロールでした。カメラマンさんと息を合わせ、補助光で顔立ちの立体感と衣装のハイライトを美しく際立たせつつ、背景のネオンが描く寒暖のコントラストを絶妙に残しました。エナメル素材は強い光で白飛びしやすいため、テカリを抑えて上質な光沢感を引き出せるよう照明の角度を細やかに微調整し続けました。
今回の撮影で最もユニークな演出となったのが、自分自身のプリント写真を手にした構図です。当初は異なるアングルでの表情を対比させる試みでしたが、二次元と三次元の境界を飛び越えるような「画中画」のインタラクションが極めて刺激的な視覚効果を生み出してくれました。カクテルグラスやビリヤードのキューといったプロップを操りながら美しいボディラインをキープするため、カウンターやハイチェアでの座り姿勢を幾度も模索。ピンヒールと網タイツを身に着けてのポージングは、脚の筋肉を常に適度に引き締めておくことで初めて不自然な硬さのないしなやかなラインを描き出せます。体幹が試されるハードな膝立ちや座りポーズの連続だったため、ワンテイクごとに手足を解しながら撮影を重ねました。
仕上がった写真の完成度には心から満足しています。表情筋が宿す感情の機微から全身のダイナミックな所作に至るまで、思い描いていた理想のビジュアルを余すところなく具現化できました。あるカットでは濃厚な空気感を、あるカットでは美しいプロポーションを際立たせるなど、多彩な構図表現に挑むことができたのも大きな収穫です。細部を逃さず切り取ってくださったカメラマンさんに感謝するとともに、挑戦に満ちたこの過酷な撮影を最後までやり抜くことができ、充実感でいっぱいです。