今回のアステシアの衣装は、近頃着た中でも群を抜いてレイヤードが複雑な仕立てでした。ベースとなる白のドレスから、淡いブルーのグラデーションが広がるチュールスカート、そして肩口を覆う黒のシースルーオーガンジーに至るまで、着付けだけでもかなりの時間を要しました。星空と神秘を司るアステシアの世界観に寄り添うため、青白髪のニュアンスを取り入れたウィッグに、金の星芒と茨を象った重厚な髪飾りをコーディネート。頭頂部の白レースや揺れるタッセル飾りは撮影中に絡まりやすく、こまめな手直しが必要でした。
撮影ロケーションにはステンドグラスが美しいクラシカルな教堂風の建造物をセレクト。ガラス窓を透過して降り注ぐ光は格別な情緒を醸し出していましたが、室内は全体的に仄暗かったため、青く発光する幾何学クリスタルの小道具に合わせて複数の照明を配置し、温かみと冷たさが交錯するドラマチックな光比を構築しました。手にした巨大な金の杖は中身の詰まった構造で想像以上に重く、長時間掲げていると腕が痺れましたが、その神聖で静謐な気品を表現するため、杖を掲げて立つ姿や花々に身を寄せるポーズ、金の小鳥を掌に遊ばせる仕草など多彩な構図に挑みました。体力を消耗するハードな撮影でしたが、カメラのモニターに映る完成度の高い光景を目にした瞬間、すべての苦労が報われました。
ドレスのトレーンには細やかなラメが散りばめられ、歩くたびに微かな衣擦れの音を響かせます。白のストッキングにバックル付きのローヒールパンプスを合わせた足元は、石造りの階段を上り下りする際に細心の注意を払いました。アステシアの佇まいを忠実に宿らせるため、表情のコントロールにも細心の注意を払い、笑みを浮かべすぎず硬さも残さず、凛とした透明感の中に柔らかな優しさが滲む絶妙な距離感を意識。特にバストアップの特写では、視線の焦点や顎の角度がわずかにズレるだけで画面の情緒が一変するため、集中力を研ぎ澄ませました。
フラワーアーティストさんが飾り付けてくださった青と白の薔薇や紫陽花が、画面の色彩に豊かな深みを与えてくれました。序盤は巨大な発光水晶との距離感の掴み方に少し戸惑いましたが、呼吸を整えてキャラクターの心象風景に没頭し、自分が本当に星空と魔術の空間に佇んでいる感覚を研ぎ澄ませることで、自然な所作が生まれました。花群にそっと身を委ねたり、階段に腰掛けて脚を組んだりする仕草も、回を重ねるごとにしなやかさを増していきました。
全体として、ファンタジーの神秘性とクラシカルな格式、そして仄かなゴシックの気品が美しく調和した作品に仕上がりました。衣装の造形から小道具、空間ライティングに至るまで、至る所に熱いこだわりが息づいています。蒸し暑い環境の中で照明を支え、ドレスの裾を直し続けてくれたカメラマンさんとスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。新たな構図とライティングの可能性を切り拓くことができた、極めて実り多い撮影となりました。