1年の時を経て再び西施の「遊竜菫華」に挑戦するにあたり、小道具の圧倒的なボリュームと衣装の緻密さゆえに最初は少なからず緊張もありました。しかし前回の経験を糧に、今回は格段に万全な仕込みを行って撮影に臨みました。まずは衣装についてですが、高貴な紫をベースに金色のパイピングを施し、照明を浴びるとまるでオーロラや竜の鱗のような艶やかな光沢を放ちます。風をはらむ軽やかさと人知を超えた神性を表現すべく、スカートの裾や優美な袖にはシフォンや透け感のあるチュール素材を贅沢に使用し、歩行に合わせて美しい階層美を描き出します。最大の難所は間違いなく身に纏う竜の立体造形プロップでした。肩に巻きつく紫の竜は相応の重量があり、身体の周りを本当に螺旋を描いて漂っているように見せるため、内部に何重もの支持フレームを仕込んでグラつきや落下を徹底的に防止。背後に伸びる超ロングな竜の尻尾も重要で、表面にリアルな鱗のグラデーション塗装を施し、内部にワイヤーボーンを仕込むことで、身体のひねりに合わせてしなやかで優美な弧を描けるよう工夫しました。頭上の竜角やヘッドホンアクセサリーも入念に位置を調整し、スプレーと隠しヘアピンで紫髪に強固に固定したため、大きなアクションを起こしても微動だにしません。ミニスカート仕立ての衣装に合わせて、今回は脚部のコーディネートにも特別な趣向を凝らしました。幻想的な世界観に寄り添うべく、肌馴染みの良いインナータイツ(ストッキング)を着用した上で紫とゴールドのグラデーション特殊メイクを緻密に施し、白のレースアップハイヒールサンダルを合わせることで、レッグラインをすらりと美しく伸ばしつつ工場のコンクリート床でも安定した歩行を確保しました。ロケ地には巨大なインダストリアル調の倉庫を選定。冷徹で無骨な鉄骨フレームの背景と、柔美で華麗な遊竜の装いが鮮烈なコントラストを織りなし、ライトが差し込むたびに鳥肌が立つほどドラマチックな質感が立ち上がりました。竜の尾やリボンの躍動感を捉えるため、アシスタントの仲間たちにテグスを引いてもらったり送風機を構えてもらったりと現場は総力戦。片手で宝珠を掲げたり振り返りざまに見据える所作など、多くのポーズでブレない体幹のキープが求められ、空間を支配する凛とした眼差しを崩さないよう表情管理を徹底しました。手元で光る黄色い球体はアクリルボールと小型LEDテープを組み込んだ手作りのプロップで、上質な発光感がポージングの絶妙なアクセントとして活躍してくれました。丸一日がかりの撮影で全身に疲労が残り、肩には小道具の締め付け跡がうっすら残るほど過酷でしたが、モニターに映し出された息をのむようなカットを目にした瞬間、すべての苦労が最高の喜びに変わりました。「遊竜菫華」のスキンデザインは極めて重厚で、繊細なテクスチャから全体のカッティングに至るまで、寄りの特写でも完璧なクオリティを証明してくれます。今回は送風機の風を味方につけたことでリボンのたなびきがより自然になり、昨年の撮影を大きく超える表現力を発揮できました。腰の回転を活かして重量のある尻尾を優美に払うコツなど、小道具の扱い方やポージングの連動性においても独自の感覚を掴むことができました。細部の研ぎ澄ましを重ね、西施ならではのしなやかな霊妙さと神々しさを全身全霊で具現化した撮影体験となりました。