今回の『オナー・オブ・キングス』貂蝉「絶世の舞姫」の撮影では、スタジオの中で舞姫ならではの軽やかな身のこなしと中国風コスプレの要素を、重層的なビジュアルとして表現することを目指しました。まず衣装についてですが、生地にはグラデーション染めのシフォンや薄手のチュールを贅沢に使用しています。トップスは白のベアトップ仕立てで縁に金のパイピングが施され、中央にはサファイアの輝きがあしらわれ、腰元の金属装飾や腕輪が重厚な質感を添えています。スカートは白からピンクへと移ろうショート丈で、外側をふんわりとしたピンクの薄絹が覆う構造です。舞姫のシルエットを忠実に再現するため、太ももにピンクの花びら模様が密着した白ストッキングを合わせ、紫金の厚底ハイヒールサンダルを着用しました。スタジオ内で何時間も立ち続けるのは、足の筋力とバランス感覚の真剣勝負でした。
小道具としては、手にしたピンクの蓮の花とサイドに垂れる巨大な花びらのオブジェが視線の要となっています。蓮の花は単体で固定されており、横の巨大な花びらはワイヤーで内部に骨組みを組むことで、宙に美しい弧を描く立体感を保っています。裾には小さな蓮と長いタッセルが揺れ、撮影時は手首で袖をそっと持ち上げて広袖の美しいドレープが自然に落ちるよう気を配りました。髪飾りのセッティングにも多くの時間を割き、ブラウンのロングヘアをふんわりと立ち上げてからゴールドの星型ティアラを固定しました。両サイドに垂れるピンクのリボンはウィッグに絡まりやすく、合間にアシスタントとともに毛流れをこまめに整え続けました。額のティアドロップ型の宝石は専用の糊で肌に密着させており、冷房が効いたスタジオとはいえ、長時間の撮影ではメイク崩れを防ぐこまめなリタッチが欠かせませんでした。
シフォンスカートが風を孕む躍動感を捉えるため現場に扇風機を設置しましたが、風が強すぎると髪が顔に張り付き、弱すぎると布地に優美なカーブが生まれないため、微調整を繰り返しました。カメラマンの指示でサイドの薄絹を手で払ったり、軽くターンする勢いで布地を翻したりすることで、一枚の静止画の中に舞踊のリズムを刻み込みました。短めのスカートに白ストッキングを合わせるストッキング コスプレはアングル選びが極めてシビアなため、片脚に重心を預けてもう一方の脚を軽く前に出し、脚のラインをすっきりと見せつつ背筋を凛と伸ばしました。蓮を持つ手首の力を抜き、指先に柔らかいニュアンスを持たせる所作も、舞踊系キャラクターの静止画撮影における大切なテクニックです。
メイクはピンク系のアイシャドウとチークに紫青のカラコンを合わせ、貂蝉特有の優美さと瑞々しい霊動感を際立たせました。眉は柔らかいアーチを描いて威圧感を排しています。デコルテを大きく見せるデザインのため、肩や鎖骨に施したボディハイライトが不可欠であり、スタジオのメインライトとエッジライトを浴びて陶器のように透き通る肌感を演出してくれました。照明下での衣装の発色も素晴らしく、幾重もの薄絹のグラデーションが完璧に捉えられた、非常に実り多い撮影となりました。