『ゼンレスゾーンゼロ』のシーシアというキャラクターは、設定画を一目見た瞬間からバイクのスタイルにぴったりだと確信していて、今回ようやくそのアイデアを形にすることができました。以前は静かで落ち着いた雰囲気のほうが私に似合っていると思われがちでしたが、バイクに跨がった瞬間、この緊張感あふれるサイバーパンクの世界観も堂々と乗りこなせると実感しました。
まずは衣装のスタイリングから。ピンクのホルターネックタンクトップに、金属バックルとクロススターがあしらわれた黒のコルセットを合わせ、コントラストを効かせつつも調和のとれた配色にまとめました。メカニカルな質感を再現するため、アームカバーは白のセパレート仕様とし、袖口には幾重ものフリルをあしらって黒のストラップや白いファーボールを縫い付け、「N.E.P.S.」のロゴプリントが絶妙なアクセントを添えています。ボトムスは黒のプリーツスカートと、幾何学的なカッティングストラップが施された黒ストッキングが主役となり、厚底のレースアップブーツを履くことで全身のシルエットをすらりと長く見せました。首元には黒のチョーカーを添え、金髪のロングヘア、白いモコモコのシュシュ、そして鮮烈な赤い瞳のカラコンを合わせることで、思い描いていた通りの完成度に仕上げました。
小道具の中でひときわ目を惹くのは、超ロングサイズの白いチューブ状の尻尾です。造形師さんが英字プリントや星のマークをあしらい、先端にふわふわのファーボールを付けてくれました。歩く際に踏んでしまわないよう細心の注意が必要でしたが、カメラ越しに抜群の躍動感を放ってくれました。
ロケーションはインダストリアルな空気が漂う模擬ガレージ風スタジオで、タイヤや配管、金属フレームが並び、床には横断歩道が描かれています。現場にはピンク、グリーン、レッドのネオン管が灯り、右側からは強い逆光が差し込んでいました。こうした複雑な光源下での撮影はかなりの挑戦で、特に強い逆光は顔を暗く沈ませてしまいがちです。レフ板を使って丁寧に光を起こすことで、赤い瞳の輝きや髪の毛のエッジに宿る光の輪郭をクリアに浮き立たせ、サイバーパンクならではの重厚な世界観を構築しました。
バイクは濃紺のレーサーレプリカ仕様で車体がとても重く、厚底ブーツを履いた状態での重心移動には何度も慎重を期しました。最初のポーズは横断歩道の上に膝をついて振り返るカットです。ストッキング越しでも床の凹凸が脚に当たって少し痛かったものの、脚の美しいラインとストッキングの編み上げカッティングのディテールを見せるには最も理想的な角度でした。2つ目のポーズはバイクに直接跨がり、両手を車体に添える構図で、カメラマンさんが広角レンズを活かして空間の奥行きをダイナミックに引き出してくれました。最後のポーズは車体にもたれかかるローアングルからのアオリ撮影で、手にした白い尻尾の小道具を自然に垂らし、力強いリーディングラインを画面に作りました。
二次元のキャラクターを三次元の空間に溶け込ませるコツをよく尋ねられますが、私は衣装の質感の表現と所作の適度な脱力感にあると考えています。メカニカルな意匠やサイバーパンクの空間は無機質で硬い印象になりやすいため、バイクを優しく撫でたり袖口を軽く握ったりと、細やかなインタラクションを取り入れるように意識しました。今回は相互協力の撮影だったため、明暗のコントラストを際立たせたいという意図を事前にカメラマンさんと共有しており、仕上がった写真はダークさと愛らしさが共存する見事なギャップを表現できました。化学の先生とバイク女子の融合という新たな二次元撮影への挑戦が、このキャラクターを愛する皆さんに新鮮なビジュアル体験として届くことを願っています。