ハイアングルの見下ろし撮影がもたらす誇張されたパースは、貴音の設定にある「一見クールでありながら子供っぽさを残した科学少女」というキャラクター性にぴったりと合致していました。この名場面のスタイルを余すところなく表現するため、事前にカメラマンとアングルや構図について入念に打ち合わせを重ねました。
ガスマスクは今回最大のハードコアな小道具でしたが、長時間着用していると内部がかなり蒸れ、水蒸気でレンズがすぐに曇ってしまいました。顔のアップを撮る時は息を止めたり、数枚撮るたびに外して息継ぎをしたりする必要がありました。マスクの赤い半透明レンズは撮影時のライティング調整がシビアで、反射を抑えないと表情の主役感が奪われてしまいます。最終的にはマスクで顔を半分覆うクローズアップ構図を採用し、マスク本来の冷ややかな空気感を保ちながら、赤い瞳の両目をしっかりと見せる形に落ち着きました。
メイクとスタイリングでは、目元の赤い瞳の効果とシールの配置にこだわりを持たせました。黒髪ツインテールのウィッグは毛先をごく自然なゆる巻きにし、黄色い絆創膏と組み合わせることでメカニカル感やポストアポカリプス感を演出しました。イエローとブラックのバイカラージャケットに赤のインナーを合わせたことで、寒色系のピュアブルーの背景に対して際立つ高コントラストを生み出しています。衣装の質感も滑らかでドレープ感が美しく、一連のポーズを綺麗に見せてくれました。顔のメイクはアイシャドウの発色をあえて控えめに抑え、強い光の下でも濁らず綺麗に見えるよう仕上げています。
この衣装は実に十数年来の強い執念であり、当時のアニメ設定から今日の実写再現に至るまで、赤白のキャンバススニーカーの組み合わせなど原作の細部を徹底的に参考にしました。ハイアングルで見下ろす構図のため下半身の比率が圧縮され、小柄な視点と相まってキャラクターの愛らしい華奢さが存分に引き立ちました。撮影中は足を揃えて立つポーズや、少し攻撃的なパンチの動きなど様々な角度を意識してポーズを調整しました。これらの動作がマスクや俯瞰アングルと重なり合い、愛らしさとハードコアさが絶妙に融合した雰囲気が生まれました。
今後の本編写真の仕上げにはまだ細かい調整が必要ですが、作品全体の方向性はすでに定まっています。次は泉州撮影で教室シーンを撮る予定です。自然光が差し込む教室とこの制服設定なら、また違った世界観が表現できるはずですし、ロケーション撮影のプランも検討しています。ついでに遥のコスプレイヤーさんと出会えて、この設定を一緒に完成させられたら嬉しいです。