今回の『ローゼンメイデン』併せ撮影のコンセプトは半月前から固めており、カメラマンやメイク担当の友人と共に何パターンものロケーション案を練り上げました。今回登場するのは誰もがよく知る定番の2キャラクターで、全体として華麗さとゴシック要素を重視しつつも、真紅と水銀燈はビジュアル表現において対照的で豊かなレイヤー感を描き出しています。
まずは衣装スタイリングについて。真紅コスプレの赤い多重フリルドレスは、生地の落ち感(ドレープ性)と立体的なレイヤー感が強く問われます。アニメの人形(ドール)特有の繊細さを再現するため、黒レースや襟元の薔薇の装飾に多大なこだわりを込めました。水銀燈コスプレの白黒ゴシックドレスも負けておらず、羽翼の質感と剣の金属光沢が組み合わさることで、冷酷かつ高貴なオーラを醸し出します。撮影前のウィッグのセットにも多大なエネルギーを費やしました。純金やプラチナブロンドの毛束は強光下で安っぽいプラスチックの反射を起こしやすいため、マット系ワックスで何度も毛束の質感(テクスチャ)を調整し、レンズの前で柔らかいマット感(無光沢)を表現できるよう徹底しました。
セットとライティング(打光)は本作品の最重要ポイントです。背景に置かれたレトロなハイバックの王座と白黒のチェッカー柄(棋盤格)フロア、深紅のベルベット幕が相まって、一瞬でダークファンタジーの舞台へ観客を引き込みます。カメラマンはトップライトとカラー環境光の融合を巧みに駆使してくれました。写真にある赤い環境光は極めて印象的で、白いドレスや肌の上に繊細な光影のグラデーションを生み出し、画面を柔らかくも感染力にあふれたものに引き立てています。横たわるポーズの撮影では、ドレスの裾が非常に大きいため、黒い円形台座の上にレースやチュールを何度も広げ直し、赤いリボンや花片を縁に散らすことで、俯瞰アングルからドールボックスに納められた人形のような構図(人偶盒構図)を作り上げました。
撮影中のポージング指導もチームワークの重要な要素でした。長剣を構えて対峙するカットにおいて、手前(前景)のボケ(虚化)効果はレタッチによるものではなく、カメラマンがレンズの絞り(光圈)与立ち位置をコントロールして生み出したものです。剣身が光を反射する一瞬を捉えるため、パートナーと何度も抜刀・構えのアクションをリハーサルしました。また、白い薔薇を手にして目を覆う近接特写(クローズアップ)では、サイド光で顔立ちや指先のラインを浮き彫りにし、キャラクターの持つ神秘性を残しつつ、平坦で硬い画面になるのを防ぎました。
衣装・小道具の質感(テクスチャ)とレタッチにおける肌のキメ(膚質細節)の維持が見事に合致し、仕上がり(成片)は舞台劇の劇中写真(スチールカット)のような高級感を醸し出しています。こうした衣装やロケーションがもたらす没入体験(沉浸式体驗)を私たちは非常に大切にしています。撮影当日は優雅な立ち姿を長時間維持する必要があり、ドレスの裾やブーツによる動きの制約もあって体力をかなり消耗しましたが、ファインダー(取景器)に映る画像を確認するたび、苦労が報われたと確信しました。これは単なる写真撮影を超えて、共にキャラクターの魂を創り出し演じるプロセスであり、近年のゴシック風コスプレ(コスプレ撮影)における私の最も熱意を傾けた挑戦となりました。