今回の撮影の構想はずっと前から温めていたものでした。アルベドというキャラクターが絵師としての属性を強く持っている以上、アトリエの情景をそのままスタジオに持ち込むのが最もストレートで説得力のある表現だと考えました。芸術制作のリアルな空気感を再現するため、学生時代から使っている本物のスケッチブックや木製イーゼルをスタジオに持ち込みました。普段のデッサン練習や静物画のスケッチは、この上ない最高の小道具になってくれました。画面が単調にならないよう、床に数枚のスケッチ原稿をあえて散りばめ、日常の生活感をプラスしています。
実際に衣装を纏ってみると、本当に細部までこだわりが詰まっていました。白いロングコートに鮮やかなシアンブルーのハイネックインナーを合わせ、胸元の星型バックルや金色のパイピングを丁寧に整えました。特に斜めにクロスするレザーハーネスは、スタイリングに重厚な立体感を与えてくれる反面、体の動きに程よい制限がかかります。それでもスリット装飾の入った黒のロングブーツを履き、指ぬきのレザーグローブをはめると、絵師としての落ち着いた気品が一気に立ち込めてきました。
ポージングにおいては、あえて大げさな動きを避け、空間に自然に溶け込むことを意識しました。1枚目のように横を向いて立ち、片手をイーゼルに添えてキャンバスを静かに見つめるポーズは、構想を練る思索の瞬間を表現。3枚目では白いキューブに腰掛け、リング綴じのスケッチブックを手に軽く首を傾げてカメラを見つめることで、レンズの向こう側にいる鑑賞者との静かな対話の瞬間を生み出しました。静謐で研ぎ澄まされた集中力を醸し出すため、ライティングも均一で柔らかいトーンに調整し、強い影が画面の透明感を損なわないよう配慮しました。
投稿でも触れた通り、他の3枚はレタッチ加工を加えたカットです。スタジオ撮影にエフェクトを取り入れるのも楽しい試みですが、今回はまずリアルな記録の視点を大切にした写真をお見せしたいと考えました。普段使っている画材や本物のスケッチを小道具として活用し、日常と趣味がシームレスに交差する感覚はとても不思議で刺激的でした。イーゼル、スケッチブック、筆といった手慣れた道具たちが、カメラの前で自然体でいられる力を与えてくれました。床に散らばるデッサン用紙の落書きも、決して名画ではないものの、写真全体に豊かな物語性を吹き込んでくれています。撮影中、カメラマンさんとのコミュニケーションも極めて重要でした。イーゼルの傾きやスケッチブックの開き具合など、ミリ単位の微調整が画面全体の絶妙なバランスを左右します。自分の特技とコスプレを融合させることができた、最高に素晴らしい挑戦となりました。