今回は浅草と渋谷の2箇所をロケーションに設定しました。
浅草パートでは主に伝統的な寺社建築群を中心に撮影を行いました。朝6〜7時台の光は境内での撮影に絶好のタイミングで、影が長く伸び、観光客もまばらでした。白シャツに深青のスカートを合わせ、石畳の小道を通って石灯籠のそばへ進み、つま先を軽く立てると、カメラマンが広角レンズのローアングルからあおり構図で背後の五重塔をフレーム内に見事に収めてくれました。壮大な軒先や朱色の柱が、深青のスカートと鮮やかな明暗・色温度のコントラストを描き出しています。格式高く静謐な空気感に合わせ、ポージングはあえて控えめで落ち着いた所作を心がけました。
ウィッグが長めのため、風が吹くと視界が遮られやすく、浅草での撮影中は前髪が乱れないよう根元を指先で優しく押さえ続けました。石畳の突き当たりでは風情ある石壁の前に立ち、木漏れ日の陰影を顔に落とすことで、質感豊かなローキートーンの写真を撮影しました。スカートの裾さばきにも気を配り、不自然なシワが寄らないよう太もも周りの生地をこまめに整えながら進めました。
渋谷パートは打って変わって全く異なる刺激的な体験となりました。スクランブル交差点に足を踏み入れると、人波が絶え間なく押し寄せていました。カメラマンはスローシャッター撮影を駆使し、周囲の通行人が激しい光の軌跡やブレを描く中、私は完全静止を維持して被写体のシャープさを保ちました。黒ストッキングにミニスカートという出で立ちは人混みの中で一際目を引くため、少し気恥ずかしさを克服する必要がありました。横断歩道の中央で振り返るベストショットを狙うため、信号を3〜4サイクル待ち、人の流れの中で最高の露光タイミングを探りました。何十テイクもの撮り直しを経て仕上がった写真は、動的な人流と静止した立ち姿の対比が見事に決まり、苦労が報われる納得のクオリティとなりました。
メイクとスタイリングに関して、金髪ウィッグは事前にカットを施し、前髪のシャープなラインを整えておきました。白シャツの襟はしっかりと立たせ、深青のプリーツスカートは歩くたびに優美な揺れ感を演出。黒タイツにダークブラウンの編み上げショートブーツを合わせることで、脚のラインをすっきりと長く見せています。一日がかりの広域ロケで足にはかなりの疲労が溜まりましたが、履き慣れたブーツのおかげで無事に完走できました。衣装のシルエットが非常に美しいため、街角に佇むわずかな仕草でも気品が滲み出たのは、秀逸な衣装デザインの恩恵です。
日本に留学しているため普段からよく通る場所ですが、今回は普段とは全く異なる視点からこの生活の街を見つめ直すことができました。浅草では歴史劇の舞台にいるかのようであり、渋谷へ移動すると一瞬でSF映画の撮影現場にトリップしたかのような感覚でした。途中、通りすがりの方から撮影について尋ねられ、コスプレである旨を伝えると快く道を譲ってくださるなど、温かい撮影体験となりました。カメラマンのアングル構成と光のコントロールは素晴らしく、ロケーションごとの個性を際立たせるため、レタッチでは浅草を重厚なダークトーンに、渋谷は都市特有の温冷対比を強調する色調補正を施しました。スタジオ撮影に比べてストリートスナップは格段に生命力に満ちており、リアルな自然光や偶然の街の表情は室内では決して再現できません。伝統と現代という2つの断面を通じて、大好きなキャラクターが現実世界と交差する素晴らしい記録となりました。