今回の撮影テーマは「神、人の世を愛す」。その神聖で慈愛に満ちた空気感を表現するため、セットの設営やライティングには細部まで工夫を凝らしました。エリシアの衣装デザインは息を呑むほど美しく、幾重にも重なるピンクから紫へのグラデーションチュールが印象的です。その軽やかで幻想的な広がりをカメラに収めるため、スカートの裾には成形用のワイヤーを巧みに仕込み、フロアに漂う白煙と相まって、まるで雲の上を歩いているかのような浮遊感を演出しました。頭上に広がる白い天使の翼の彫刻、そして背後のローマ柱や石膏像によって、神聖な神殿の荘厳さを見事に再現しています。
ただ、この衣装で一番苦労したポイントを挙げるなら、間違いなく手袋です!この長さのある白手袋は、指先のラインを美しく整えるだけでなく、引っ掛かりや引きつれを防ぐのが本当に繊細な作業でした。特に白薔薇を手にしてポーズを取る際、少しでも指の力加減を誤ると手袋に不自然なシワが寄って硬く見えてしまうため、手が不器用で無骨に写らないよう、撮影中はずっと指先の力加減を意識し続けていました。
ウィッグのセットも大仕事でした。ピンクの三つ編みはふんわりと自然な立体感を出しつつ、編み込みの隙間に小さな白い花の髪飾りを固定し、さらにエルフ耳も装着したため、頭皮への負担もなかなかの試練でした。メイクについては、人の律者が持つ超越した神性を引き立てるため、ピンクパープルのカラコンにしっかりめのタレ目ラインを合わせ、ハイライトは透明感を重視。チークは柔らかくぼかして、ほんのり上気したような神聖な雰囲気に仕上げています。
撮影当日はかなりの体力勝負でした。大きなスカートを広げて霧の中に座りながら、体が沈み込まないよう体幹をしっかり意識し、背筋の美しさと穏やかな表情を保つ必要がありました。裾の広がりが大きいため、少し動くだけで全体のシルエットが崩れてしまい、シャッターを切るたびに手直しを重ねました。現場のドライアイスの煙も立ち込めていたため、呼吸のコントロールにも気を配りました。
衣装自体の仕立てについて触れると、ウエスト周りは本来すっきりとしたカッティングですが、上にチュールが何重にも重なるため着膨れしやすく、内側に目立たないコルセットを仕込んでプロポーションを補正しました。腕にあしらわれた繊細なゴールドチェーンも絶妙なアクセントで、ロンググローブと相まって、神聖でありながらほんのりとした拘束感漂う美しさを醸し出してくれます。1枚目の白薔薇を抱いた写真は、背後の巨大な天使の翼と調和するように計算したアングルで、まるで翼が私を守り、あるいは自らの一部として広がっているかのように見せています。柔らかな光に透ける花びらの質感はとても繊細で、石膏像の硬質で冷たい印象を絶妙に和らげてくれました。
表情の作り方については、「慈愛」がテーマであるため、視線に刺々しさを出さず、かといって虚ろになりすぎないバランスを追求しました。少し視線を落とし、目尻をわずかに和らげることで、哀憐と優しさに満ちた眼差しを表現しています。ピンクのウィッグは通常の光だと白飛びしやすいため、今回は2色温度のライティングを採用し、ピンクの発色を保ちながら夢見心地なソフトフィルター効果をプラスしました。ヘアメイクからセットに至るまで、すべてのディテールは完璧で包容力に満ちたエリシアを描き出すためのものです。この作品から、その美しさと優しさを感じ取っていただけたら嬉しいです。