『ゼンレスゾーンゼロ(Zenless Zone Zero)』に登場するレミエールのスタイリングは、設定画と向き合ってから蛍火虫漫展でお披露目するに至るまで、幾度ものフィッティングと修正を重ねた力作です。今回のイベント写真(Convention photos)のロケーションには高層階の巨大なガラス窓前をセレクト。キャラクターが宿す浮遊感、神聖な気品、そして少女らしい茶目っ気を完璧に表現することを目指しました。
衣装のレイヤード構造は極めて緻密に設計されています。上半身は端正な白のビスチェコルセット構造を基調とし、胸元やウエストサイドには銀の金属バックル、交差するストラップ、そして淡い紫のタッセルオーナメントを贅沢に配置。視覚的な華やかさのみならず、歩行やジャンプなどのアクティブな動きでもパーツがずれないよう、吸い付くようなフィット感を徹底的に追求しました。首元を飾る金属ペンダント付きのブルーのチョーカーは、全体のスタイリングを引き締める決定的なアクセント。ボトムスにはアシンメトリーなカッティングのスカートを採用し、青紫のロングリボンが歩くたびに流麗な軌跡を描き出します。
全体の中で最も重量があったのは、背中に背負った翼の小道具(wing props)でした。翼が画面の中で生き生きと呼吸しているように見せるため、片足をふわりと持ち上げたり両腕をしなやかに広げたりと、現場で多彩な躍動感あふれるポージングを模索。髪先と翼にエアリーな浮遊感を宿すべく、窓際のポジションを陣取り、強烈な逆光を浴びせることで輪郭のエッジを神々しく彫り起こしました。ピンクのショートウィッグは丁寧にカッティングを施し、星型のヘアピンとピンクのカラコンを装用。チークを広めにふんわり乗せることで、瑞々しく愛らしい血色感を顔立ちに宿しました。
優れたコスプレ(cosplay)作品の本質は、衣装の再現度にとどまらず、キャラクターの内面が滲み出る表情と所作の捕捉にあると信じています。導き手としての神聖さと無邪気な少女らしさを併せ持つレミエールを表現するため、片目をキュッと瞑るウインク、頬にそっと手を添える仕草、レンズに向かって手を差し伸べるポーズなど、愛らしい微細な表情をふんだんに散りばめました。白ストッキング(White stockings)に太もものレッグガーターとハイヒールを合わせることで脚のラインをすらりと引き伸ばし、全身の純白の装いが窓の外に広がる摩天楼の都市景観と鮮烈なコントラストを織りなしました。
当日の直射日光は非常に眩しく、強い光に瞳が刺激されて涙が滲む場面もありましたが、白い羽毛やスカートのドレープに美しい光と影が落ちたプレビュー画面を目にした瞬間、炎天下を駆け回りポーズを追求したすべての苦労が報われました。漫展の現場は雑踏に満ちており、無機質でクリーンな背景を見つけるのは至難の業ですが、建築の幾何学構造と豊かな自然光を味方につけることで、スタジオ撮影では決して得られない生々しい臨場感を切り取ることができます。衣装自体の動きやすさは良好だったものの、大振りのアクションでは繊細なパーツが脱落しやすいため、テイクの合間にはメイクや小道具の安全確認を徹底し、常に万全の状態でシャッターを迎えました。
この写真集を巡る皆様に、細部まで注ぎ込んだ造形のこだわりと、イベント会場ならではの熱気と躍動する生命力を肌で感じていただければ幸いです。